エギのカラーローテーション|「何色から投げればいいですか?」に答えます

釣具店で一番聞かれるエギの質問がこれです

「エギの色、何がいいですか?」

エギのコーナーで接客していると、この質問が一番多いです。棚を見ると同じサイズのエギが何十色も並んでいるので、迷うのは当然です。わたしも最初は全く分かりませんでした。

ただ、カラー選びには考え方の軸があります。感覚やセンスの話ではなく、ロジックで整理できます。この記事では「何色から投げて、どういう順番で変えていくか」というカラーローテーションの考え方を書きます。


まず大前提:イカは色を見ていません

アオリイカの目は視力0.6程度と言われていて、かなりよく見えています。しかし色覚は持っていないとされています。つまり人間のように「ピンクだ」「オレンジだ」と色を区別しているわけではありません。

ではカラーが無意味かというと、そうではないです。色覚がなくても、明暗の差——コントラストには敏感に反応します。周囲の海水との明暗の差で「何かがいる」と認識している。だからカラーを変えると反応が変わるわけです。

「何色がいいか」ではなく「どのくらいの明暗差でアピールするか」が本質です。ここを理解しておくと、カラー選びが一気にシンプルになります。


エギのカラーは「下地」と「上布」の2層で考える

エギの記事でも書きましたが、エギのカラーは下地テープと上布(背中の布)の2層構造です。

下地テープ:エギの本体に巻かれたテープの色。布の網目から透けて見えます。光の量(時間帯・天気)に合わせて選びます。

上布(背中カラー):下地の上に巻かれた布の色。潮の色(澄み・濁り)に合わせて選びます。

カラーローテーションで優先すべきは下地テープです。上布は二の次で構いません。


下地テープの選び方:光の量で決める

下地の使い分けはシンプルです。「今、海中にどのくらいの光が届いているか」で決めます。

光の量 下地テープ 考え方
暗い(夜・闇夜・日の出前) 赤・紫テープ シルエットをくっきり出す
やや暗い(朝夕マズメ・曇り) 金テープ・ピンクテープ 弱い光を反射してアピール
明るい(日中・晴天) 銀テープ・ホロテープ 強い光を反射してフラッシング
曇り〜晴天(紫外線あり) ケイムラ 紫外線で淡く発光、曇りでも有効
暗い+濁り 夜光(グロー) 自ら発光して濁りの中でも見える

基本的な考え方は「光が少ないほど存在感を出す下地、光が多いほど控えめな下地」です。

朝マズメを例にすると、暗い時間帯は赤テープから始めて、太陽が上がってきたら金テープに変えて、日が高くなったら銀テープやケイムラに変えていく——時間の経過に合わせて下地を変えていくのが基本のローテーションです。


上布(背中カラー)の選び方:潮の色で決める

下地を決めたら、次は上布です。こちらは潮の色に合わせます。

濁り潮・曇り・朝夕マズメ:オレンジ・ピンクなど明るいアピール系。エギが見えにくい状況では目立つ色が有効です。

澄み潮・晴天の日中:ブルー・グリーン・ブラウンなどナチュラル系。ベイトフィッシュに近い色で違和感を減らします。

夜間・闇夜:赤・紫・ダーク系。シルエットで勝負する状況では、下地との組み合わせで存在感を出します。


わたしのローテーションの実例

ここからはわたし自身がやっている方法です。正解は人それぞれですが、接客でも「具体的にどう回すのか」を聞かれることが多いので書いておきます。

1投目:金テープ×ピンクまたはオレンジ

迷ったらこれです。金テープはマズメ・曇り・日中と幅広い光量に対応できるオールラウンダーで、ピンクやオレンジの上布は視認性が高くエギの位置を確認しやすい。最初の1投でポイントの状況を探るパイロットカラーとして使います。

反応がなければ:下地を変える

わたしは上布より先に下地を変えます。たとえば金テープで反応がなければ、同じピンクの上布で銀テープに変えてみる。それでもだめなら赤テープに。上布は変えずに下地だけ変えることで、「光の反射の仕方」を変えています。

それでもだめなら:上布を変える

下地を2〜3種類試して反応がなければ、ここで初めて上布を変えます。ピンクからブルーやブラウンなどナチュラル系に。イカが見ているのに抱いてこない状況では、アピールを落とした方が効くことがあります。

下地→上布の順番で変える理由

下地はイカへのアピール力(明暗のコントラスト)を変える要素で、上布は見た目の印象を変える要素です。まずアピール力を調整して、それでもだめなら見た目を変える——という順番が、原因の切り分けをしやすいです。

両方一気に変えてしまうと、「何が効いたか」が分からなくなります。


「何が効いたか」を考える習慣

カラーローテーションで一番大事なのは、なぜそのカラーで釣れたかを考えることです。

金テープ×ピンクで釣れたなら、光の反射が効いたのか、ピンクの視認性がイカに刺さったのか。赤テープに変えた瞬間に抱いてきたなら、光が弱い状況でシルエットのアピールが必要だったのか。

1杯釣れたときの「なぜ」を記録しておくと、次の釣行の仮説が立てられます。カラーローテーションは感覚の話ではなくて、仮説検証の繰り返しです。


最低限持っておきたいカラーの組み合わせ

全色揃える必要はありません。最初は以下の3〜4本があれば、ほとんどの状況に対応できます。

下地 上布 使うタイミング
金テープ ピンクまたはオレンジ パイロット(最初の1投)
銀テープまたはホロ ブルーまたはグリーン 晴天・澄み潮
赤テープ 赤またはダーク系 マズメ・夜・曇り
ケイムラ ピンクまたはナチュラル 曇り・紫外線がある日中

釣行を重ねながら「この状況ではこのカラーが効いた」というデータが溜まってきたら、少しずつ追加していけばいいです。


お店で聞かれたときの答え方

接客で「何色がいいですか?」と聞かれたら、わたしはまずこう聞き返します。

「何時頃から釣りますか?」「朝マズメからですか、日中ですか、夕方ですか?」

時間帯が分かれば下地が決まります。下地が決まれば上布は2択くらいに絞れます。カラー選びは、釣る時間帯と潮の状況が分かればほぼ決まるんです。


葵ちゃん

葵ちゃんのまとめ

カラーローテーションは「好きな色を選ぶ」ではなく「光の量と潮の色から逆算する」作業です。

下地を先に変えて、それでもだめなら上布を変える。両方一気に変えない。なぜそのカラーで釣れたかを考えて記録する。この3つを意識するだけで、カラーローテーションが「感覚」から「判断」に変わります。

「読みが当たって1杯」の嬉しさは、偶然の1杯とは違います。カラーの選択に根拠があって、それが当たったときの手応え——それがエギングのカラーローテーションの面白さです。

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エギのカラー効果は研究途上の分野で、定説が確立しているわけではありません。本記事はアオリイカの色覚に関する研究と、釣具店での接客経験をもとにした解説です。