活きエサの調達・管理・持ち運び|弱らせずに釣り場へ届ける

活きエサは元気が9割

泳がせ釣りやエサ釣りの一部は、エサが元気かどうかで釣果が決まります。弱ったエサ、死んだエサには魚がなかなか口を使いません。底にいる魚に、元気に泳ぐ小魚の波動で「ここにいるよ」と気づかせるのが泳がせ釣りなので、エサの活きの良さがそのまま釣果に直結します。

だから準備の半分は、エサをどう調達して、どう生かして、どう釣り場まで運ぶか、です。ここを押さえないと、釣り場に着いた時点でエサが全滅していて、その日は終了ということになりかねません。

この記事では活きエサの調達・管理・持ち運びを、ハゼ・銀平・アジ・エビといった代表的なエサごとに見ていきます。お店でもこの時期よく聞かれる話です。


活きエサの調達——買う・釣る・現地調達

買う

いちばん確実なのは釣具店で買うことです。

泳がせエサの定番は銀平(ギンペイ)。エサ用に養殖されたウグイで、当店でも通年で扱っています。マゴチ・ヒラメ・青物の泳がせエサとして流通しているので、エサに困ったらまず銀平です。地域や店によって取り扱いの有無や呼び名(銀兵・銀白)が変わるので、近くの店になければ電話で聞いてみてください。

ハゼは、シーズンになると一部の釣具店で活きエサとして扱われます。ただ銀平ほど安定して置いてあるわけではないので、確実に欲しいなら事前に在庫を電話で確認するのが無難です。お店としても、入荷の予定を聞いてもらえると準備できます。

釣る——わらしべ長者作戦

エサを自分で釣るのも楽しい方法です。

ハゼは河口や港の周りで、ちょい投げや脈釣りで手軽に釣れます。エサはイソメを少し買えば足りるので、少量のイソメ代だけで済みます。もし前日などに余らせた虫エサでハゼを釣るなら、追加コストはゼロです。釣ったハゼをそのまま泳がせのエサにする。小物を釣って、それをエサに大物を狙う。わらしべ長者みたいな釣りです。

現地調達

釣り場でサビキを出して、釣れたアジやイワシをそのままエサにする方法もあります。

サビキで小アジが釣れる釣り場なら、その場で泳がせエサが手に入る。釣れたての魚はいちばん元気なので、エサとしての質は高いです。まずサビキでエサを確保してから泳がせに移行する、という二段構えもよくやられています。


活きエサの管理——魚種ごとのコツ

活きエサを生かす原理は、どの魚種でも共通しています。水温を上げない、酸素を切らさない、入れすぎない。この3つです。

水温が上がると、水中の溶存酸素量が減ります。水温が高いほど水に溶けられる酸素の量が物理的に少なくなる。つまり水温が上がると酸素が逃げるということです。夏場は「暑さ」と「酸欠」が同時に襲ってくる。エサが弱る最大の原因は、たいてい水温です。

そのうえで、魚種ごとに気をつけることが変わります。

ハゼ

ハゼは比較的丈夫なエサです。汽水域に棲む魚なので環境の変化にある程度強く、活きエサの中では扱いやすい部類。それでも水温が上がれば弱るので、後述する水温管理は必要です。底にいる魚なので、容器は深さより広さがあるほうが落ち着きます。

銀平

銀平は丈夫さが最大の取り柄です。正体は淡水魚のウグイなので、海水ではなく淡水で管理できます。水道水をカルキ抜きすれば使えるので、海水を用意する手間がいりません。これが泳がせエサとして銀平が重宝される理由のひとつです。しかも1匹あたり0.1リットルほどの水量で足りるとされ、アジが1匹1リットル必要なのと比べると、少ない水でたくさん運べます。海水に入れても長時間泳ぎ続けるので、淡水で持って行って海でそのまま使えます。

アジ・イワシ(サビキで釣れたもの)

青物系の小魚は、活きエサの中でもデリケートです。体表のぬめりが取れると弱るので、素手でつかまない。取り出すときはネットを使います。手の熱でも弱るので、できるだけ触らない。アジは特に酸欠に弱いので、エアーポンプは必須です。

エビ

エビはシロギスやカサゴ、クロダイなど幅広く効く活きエサの代表格です。エビも魚と同じく水中管理+エアーポンプが基本ですが、魚と違う点がひとつあります。エビは泳ぎ続けると疲れて弱るので、容器の中に掴まって休める場所(休息ネット)が要ります。活きエビクーラーに最初からネットがついているのはこのためです。水温変化にも敏感なので、水換えは少量ずつ行います。


水温と酸素の管理

活きエサを生かす肝は、繰り返しになりますが水温と酸素です。

エアーポンプ

酸素供給の基本はエアーポンプです。釣り用のエアーポンプは小型で防水加工がされていて、乾電池やカー電源で動きます。送風量は1分あたり1.5〜2リットルくらいあれば、ある程度の数のエサをまかなえます。送風量が大きいほど電池の消費も早いので、エサの量に合わせて選びます。

ひとつ注意したいのは、空気を送りすぎてもエサが弱ることがある点です。強すぎる水流の中でエサが泳ぎ続けて疲れる、気泡をエサが吸ってしまう、といったことが起きます。元気にしようとして全開にしたら逆効果にもなるので、ほどほどがいいです。

水量と密度

エサの数に対して水が少ないと、酸欠と水質悪化が早く進みます。ただし必要な水量は魚種でかなり違います。アジは酸欠に弱いので1匹あたり1リットルが目安。銀平は丈夫なので1匹あたり0.1リットルで足ります。ハゼも丈夫な部類で、10匹程度なら5〜8リットルのバケツで問題ありません。小さいバケツにエサを詰め込むより、大きい容器に余裕を持って入れたほうが生存率が上がるのはどの魚種でも同じです。

水温を上げない

夏は、いかに水温を上げないかの戦いです。クーラーボックスを活かし容器に使うと、保温性が高いので水温が上がりにくい。直射日光に水を当てない。氷を入れるなら、真水を直接入れると水温が急変して比重も変わるので、凍らせたペットボトルを沈めて間接的に冷やすのが安全です。

水換えで水温を保つ方法もありますが、一度に全部替えると急激な水温変化でエサが弱ります。替えるなら全体の4分の1ずつくらい、少しずつ継ぎ足すのがコツです。


持ち運びの道具——量と予算で選ぶ

活きエサの持ち運びは、量と予算に応じて段階があります。安い順に並べます。

いちばん安いのは、フタつきのバケツにエアーポンプ。これだけで始められます。ただし断熱材がないので、夏場は水温が上がりやすい。

次に、発泡スチロールの保冷箱にエアーポンプのホースを通す穴を開ける方法。保冷箱は釣具店やホームセンターで数百円、エアーポンプと合わせて1500円くらいで済みます。発泡スチロールは断熱性が高いので、バケツより格段に水温が安定します。見た目は地味ですけど、機能としては十分です。 近年の発泡スチロールの保冷箱は、環境に配慮した製法に変更したことにより以前に比べて防水性が著しく落ちています。水を注ぐと水漏れが起きるため上記の方法はできなくなりました。

もう少し便利にしたいなら、活きエビクーラーと呼ばれるジャンルの製品があります。もともと活きエビを持ち運ぶために作られた小型クーラーで、エアーポンプの取り付け穴、すくい網、エビが掴まって休めるネット(休息ネット)が最初からついています。蓋がしっかり閉まるのでエサが跳ねて逃げない。エアーポンプ込みで4000円前後。エビに限らず、ハゼや銀平の持ち運びにも使えるので、活きエサの入門装備としてすすめやすい道具です。

本格的にやるなら、クーラーボックスに穴を開けて活かしクーラーにする方法があります。保冷性が高いので夏でも水温が上がりにくく、水量も確保できる。自作する人もいますし、最初から活かし機能のついたクーラーも売っています。

水質をきれいに保ちたいなら、投げ込み式のフィルター(水作エイトのようなもの)をエアーポンプにつなぐと、エサの老廃物による水の汚れと泡立ちが軽減されます。長時間の釣行や、たくさんのエサを生かしたいときに効きます。


先輩のやりすぎた活きエサ管理

ちょっと脱線します。

先輩は以前アクアリウムが趣味だった時期があって、わらしべ長者作戦で大量に釣れたハゼを、自宅でキープしていたそうです。

25センチの水槽に、ブクブク(エアーポンプ)と投げ込み式フィルター、それに熱帯魚用の小型クーラーまでつけて、水温を一定に保っていたとのこと。さらに、ハゼを釣った場所の水とできるだけ同じ比重になるように、人工海水を作って調整していたそうです。汽水域のハゼだから、塩分濃度を合わせたほうがストレスが少ないだろうと。

エサのためにそこまでやるか、という話です。でも生き物を弱らせたくない気持ちと凝り性が合わさると、こうなるんでしょうね。今はアクアリウムはやめたそうですが、活きエサの管理の勘どころはあのとき身についた、と言っていました。


葵ちゃん

葵ちゃんのまとめ

活きエサは、いかに元気なまま釣り場に立たせるかで釣果が変わります。買うなら銀平が確実、釣るならハゼでわらしべ長者、現地でサビキという手もある。

管理の原理はどのエサも同じで、水温を上げない・酸素を切らさない・入れすぎない。夏は特に水温との戦いになります。

先輩みたいに水槽にクーラーまでつけろとは言いません。あれはやりすぎです。でも、エサを大事にする人ほど大物に近づくのは確かだと思います。エサが元気なら、あとは魚がいる場所に届けるだけです。