釣りに月いくらかかっているか正直に計算してみた
毎回ラーメンで締める人がいるんですが、大丈夫なんでしょうか
先輩は砂浜で5時間投げ釣りをして、帰りに反省会と称してラーメンを食べます。茅ヶ崎でボウズだった日も三浦で17尾釣った日もラーメンで締める。あの人にとって釣りは「ラーメンを食べるための前振り」なのかもしれません。
ところで、あの5時間で先輩はどのくらいお金を使っているんでしょうか。ジャリメを買って、ガソリンを使って、駐車場に停めて、仕掛けをロストして、帰りにラーメンを食べて——反省会ラーメンはコスト的に許されているのか。気になったので正直に計算してみました。
※車のローンと保険は含みません。含めたら怖くて計算できません。
先輩の場合:投げ釣り・週1回・近場中心
1回あたりの釣行コスト
| 項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| エサ(ジャリメ30g) | 400円 | 先輩の定量。余ることが多い |
| ガソリン(往復40km) | 600円 | 近場(逗子・鵠沼あたり) |
| 駐車場 | 800円 | 場所により0〜1,600円。平均で |
| 仕掛け消耗品 | 500円 | 天秤・針のロスト補充。1回あたりに換算 |
| 1回あたり合計 | 2,300円 |
近場の釣行1回が2,300円。映画1本分です。
〈家族への説明テンプレート①〉 「1回2,300円だよ。缶ビール4本とおつまみ買ったら同じくらいでしょ。しかもわたしは5時間海で健康的に過ごして帰ってきてる」——先輩がよく使うフレーズだそうです。数字は正しいです。
中距離(三浦半島)だとガソリンが1,200円に上がって、1回あたり2,900円。
遠征(岩井海岸)になると高速料金の往復6,500円+ガソリン2,400円で、1回あたり9,300円。先輩がアクアラインに2時間かけてシロギス1尾だった日は、1尾あたり9,300円のキスでした。
〈家族への説明テンプレート②〉 「遠征は月1回だけだし、普段は近場で2,300円だから。遠征の日だけ見て判断しないでほしい」——月平均で薄めるのが釣り人の定番テクニックです。
月間コスト(週1回・近場中心)
| 項目 | 月額 |
|---|---|
| 釣行費(2,300円×4回) | 9,200円 |
| 道具按分(後述) | 約3,000円 |
| 月間合計 | 約12,000円 |
月12,000円。ジムの会費とほぼ同じです。消費カロリーの記事で書いた通り、5時間の投げ釣りで約1,400kcal消費しているので、ジムと比較しても妥当なコスト感かもしれません。
〈家族への説明テンプレート③〉 「ジムに通うと同じ金額かかるよ。しかもジムは室内でランニングマシン走ってるだけだけど、わたしは海で1,400kcal消費して魚を持って帰ってきてる」——消費カロリー記事のデータを武器にするパターンです。魚が釣れなかった日は使えません。
道具代の按分という「自己正当化のロジック」
ここで釣り人が必ず使う計算方法を紹介します。
先輩のタックルはハイエンドです。トーナメントプロキャスターAGS(約8万円)に17フリーゲン(約4万円)。合計12万円。「高い」と思いますよね。
でも釣り人はこう計算します。
「竿は10年使える。10年で480回釣りに行く。12万円÷480回=1回あたり250円。ペットボトル1本分だよ」
数字は正しいです。計算の仕方に釣り人バイアスがかかっているだけです。10年使う前提で計算している時点で、買うことはもう決まっています。わたしも新しいリールを買うときにこの計算をします。
現実的な按分を出しておきます。
| 道具 | 金額 | 耐用年数 | 年間按分 |
|---|---|---|---|
| 竿 | 80,000円 | 5年 | 16,000円 |
| リール | 40,000円 | 5年 | 8,000円 |
| ライン巻替え | 3,000円 | 年1回 | 3,000円 |
| クーラーボックス | 15,000円 | 5年 | 3,000円 |
| 小物(ハサミ・プライヤー等) | 10,000円 | 2年 | 5,000円 |
| 合計 | 35,000円/年 ≒ 3,000円/月 |
ハイエンドタックルでも月あたり3,000円。入門クラスのタックル(竿1万+リール1万)なら月あたり700円です。
〈家族への説明テンプレート④〉 「高い竿を買ったように見えるけど、月あたりにすると3,000円だよ。スマホの有料アプリとサブスク全部足したらそれ以上じゃない?」——比較対象を家族のサブスクに向けるのは諸刃の剣です。やり返されます。
わたしの場合:エギング・月3回
| 項目 | 1回あたり | 月3回 |
|---|---|---|
| エギロスト(平均1本) | 800円 | 2,400円 |
| ガソリン(往復40km) | 600円 | 1,800円 |
| 駐車場 | 500円 | 1,500円 |
| 道具按分 | — | 750円 |
| 合計 | 1,900円/回 | 約6,500円/月 |
エギングはエサ代がゼロです。その代わりエギのロストが痛い。藻場の記事で書いた通り、春の藻場では1回で2〜3本ロストすることもあります。
それでも月6,500円。動画のサブスクを3つ契約するのと同じくらいです。
〈家族への説明テンプレート⑤〉 「エギングはエサ代ゼロだから実質無料に近い」——エギのロスト代を隠蔽しています。春の藻場で3本ロストした日は2,400円飛んでいます。「実質無料」と言い切る度胸は見習いたくありません。
反省会ラーメンという隠れコスト
先輩の月間コストに、反省会ラーメンを加算します。
ラーメン1杯950円×月4回=3,800円。
これは月間の釣行費(9,200円)の約4割に相当します。エサ代(月1,600円)の2倍以上。ジャリメ30グラムを倹約している一方で、ラーメンに月3,800円使っている。この矛盾には本人は気づいていないようです。
先輩の本当の月間コスト:約16,000円(釣行費9,200円+道具按分3,000円+ラーメン3,800円)
〈家族への説明テンプレート⑥〉 「ラーメンは釣りの経費じゃなくて食費だから。釣りの支出に計上しないで」——先輩の主張です。会計上は正しいかもしれませんが、ラーメンを食べる理由が「釣りの帰り」である以上、家族はそう見てくれません。
他のレジャーと比較してみる
「釣りって金かかるの?」と聞かれたときの回答に使えるデータです。
| 趣味 | 月間コスト(目安) | 備考 |
|---|---|---|
| 堤防釣り(週1) | 約12,000円 | 先輩の実績ベース |
| エギング(月3回) | 約6,500円 | わたしの実績ベース |
| ゴルフ(月2ラウンド) | 約25,000〜40,000円 | プレー代+練習場+交通費 |
| キャンプ(月1回) | 約15,000〜30,000円 | サイト代+食材+交通費+消耗品 |
| スキー・スノボ(シーズン月2回) | 約30,000〜50,000円 | リフト代+交通費+宿泊 |
| ジム(会員制) | 約8,000〜12,000円 | 月額会費 |
| 映画(月3本) | 約6,000円 | チケット代のみ |
| パチンコ(週1・5時間) | 平均▲30,000〜50,000円 | 勝つこともあるが平均はマイナス |
| 動画サブスク3つ | 約4,000円 | 家から出ない |
釣りはゴルフの半分以下、キャンプと同等かやや安い、ジムとほぼ同じ、映画の2倍。パチンコに同じ5時間使ったときの平均損失を考えると、釣りのコストパフォーマンスは圧倒的です。しかも釣れたら食べられます。ゴルフのボールは食べられません。
〈家族への説明テンプレート⑦〉 「パチンコに5時間使ったらいくら溶けると思う?釣りなら同じ5時間でマイナス2,300円かつ魚が手に入る。むしろ家計に貢献してる」——比較対象にパチンコを持ち出すのは釣り人の伝統芸です。比較対象を自分より高い趣味に設定するだけで、何でも安く見えます。
コストを下げたい場合
先輩の月12,000円をさらに下げることはできます。
交通費を下げる:自転車で行ける近所の堤防を見つける。交通費がゼロになるだけで月間コストが4〜5割減ります。これが最も効果的な節約です。
駐車場代を下げる:無料駐車場がある釣り場を選ぶ。先輩の鵠沼1,600円の前払いは「精神衛生上よくない」と本人も認めています。
エサ代は元々安い:ジャリメ30グラムで400円。ここを削っても効果は薄いです。むしろ余らせている方が問題で、使い切る量だけ買えば無駄がありません。
仕掛けのロストを減らす:根がかりしにくい場所を選ぶ、天秤の種類を工夫する。消耗品費の削減はスキルの向上で実現します。
反省会ラーメンをやめる:月3,800円の節約。しかし先輩はこれをやめないと思います。
「10万円の竿、10年使えば1回250円」は正しいのか
正しいです。ただし前提条件があります。
10年間壊さずに使い続けること。10年間その釣りを続けること。10年後に「やっぱり新しいのが欲しい」と思わないこと。
この3つの前提が全部成立すれば、10万円の竿は1回250円です。1つでも崩れたら按分計算は破綻します。
先輩は崩れました。10万円の竿を1回折っています。修理(部品交換)費用は5万円でした。10万円+修理5万円=15万円。按分計算のやり直しです。「ペットボトル1本分だよ」と言っていたのが「ペットボトル1.5本分だよ」に変わりました。本人は笑っていましたが、5万円は笑える金額ではありません。
〈家族への説明テンプレート⑧〉 「修理して使えるんだから、新しいの買うより安いでしょ。15万円÷10年÷48回=312円。まだペットボトル2本分だよ」——竿を折ったのに按分計算で乗り切ろうとする精神力。前提条件が崩壊しても計算式を更新して再提出してくるのが釣り人です。
ただし逆に言えば、入門クラスのタックル(竿1万+リール1万=合計2万円)を5年使ったら、月按分は330円です。これは計算するまでもなく安い。釣りの道具代は、始めるときのハードルが一番高いだけで、始めてしまえば月あたりの負担は軽いです。

葵ちゃんのまとめ
本記事の金額は2026年5月時点の一般的な相場をもとにした概算です。エサの価格・ガソリン価格・駐車場料金は地域や時期によって異なります。他のレジャーとの比較は目安であり、個人の楽しみ方によって大きく変わります。
計算してみて思ったのは「意外と安い」でした。
先輩の投げ釣り、ハイエンドタックルで週1回通って、反省会ラーメン込みで月16,000円。ゴルフの半分以下で、パチンコと比べたらお金が溶けるどころか魚が手に入る。わたしのエギングなら月6,500円で、動画サブスク3つ分。
一番コストがかかっているのはエサ代でも道具代でもなく交通費と駐車場で、釣行費全体の6割を占めています。近所の堤防で釣りをすれば月間コストは一気に半分になります。「高い道具を買わないと釣りが楽しめない」は誤解で、竿とリールの月按分はどんなに高くても3,000円です。
先輩に「反省会ラーメンが月3,800円で、エサ代の2倍以上ですよ」と伝えたら、「ラーメンは釣りの一部だ」と言い切っていました。釣り人の自己正当化能力は、按分計算より強いです。