釣り人はビーチコーミングの素質がある|潮止まりに砂浜を歩く
潮止まりに砂浜を歩いていたら
先輩と投げ釣りをしていたとき、潮が止まって竿に反応がなくなった時間がありました。竿を置いて砂浜を歩いていたら、波打ち際にシーグラスが落ちていました。白く曇った水色のガラス片。角が丸く削れていてきれいだったので、拾ってポケットに入れました。
先輩に見せたら「それビーチコーミングだよ」と言われました。
ビーチコーミングというのは、砂浜を歩いて漂着物を拾い集める遊びです。貝殻、シーグラス、流木、変わった石。砂浜に打ち上げられたものを宝探しのように探す。道具がいらない。お金もかからない。そして釣り人なら、始めるために必要な知識をもう持っています。
釣り人がすでに持っている3つの知識
潮汐が読める。 ビーチコーミングのベストタイミングは大潮の干潮後です。潮が大きく引いた跡に「ドリフトライン」と呼ばれる漂着物の帯ができます。これが宝の山。釣り人は潮汐表を毎日チェックしているので、いつ行けばいいか分かります。
砂浜の地形を見る目がある。 磯が近くにある砂浜には貝殻や生物由来の漂着物が多く打ち上がります。港や突堤の近くは構造物が潮流を遮って漂着物が溜まりやすい。これは投げ釣りでヨレや流れの変化を読むのと同じ目線です。ポイント選びの感覚がそのまま使えます。
季節と天候の影響を知っている。 台風や強風の後は漂着物が増える。冬の季節風が吹く日本海側は冬場に漂着物が多い。これも釣り人が普段から気にしている情報です。
何が拾えるか
砂浜によって拾えるものが変わります。
シーグラスと陶片はどこの砂浜でも見つかりやすいものです。波に削られて角が丸くなったガラスや陶器の欠片で、色がきれいなので集めている人が多い。わたしは拾ったシーグラスを窓辺に並べています。
サクラガイは薄くて透き通ったピンク色の貝殻で、ビーチコーミングでは人気のアイテムです。割れやすいので、見つけたら砂の上でそっと拾ってください。材木座海岸が拾える浜として知られています。
カシパン(タコノマクラの仲間)はウニの一種で、平たい円盤のような形をしています。砂浜に打ち上げられた殻を拾うことができます。富津岬の先端が大潮の干潮時に有名です。
ヤシの実がときおり砂浜に転がっていることがあります。先輩は何度か見かけたそうで、「南の海から流れてきたと思うと、海って広いんだなと思う」と言っていました。

ウミガメの甲羅が打ち上がっていることもまれにあります。先輩は見つけたとき、思わず値段を調べそうになったと言っていましたが、ウミガメは保護動物なので持ち帰ってはいけません。
ビーチコーミングをする人の間で「いつか拾いたい」と言われているのが龍涎香(りゅうぜんこう)です。マッコウクジラの腸内で生成される物質で、香料の原料として非常に高値で取引されています。砂浜に打ち上がることが極めてまれにあるそうですが、わたしはまだ見たことがありません。
ちなみに先輩は、釣れなかった日に貝殻を大量に拾って大きさ別に選別して、手工芸の素材としてメルカリに出品したことがあるそうです。売れなかったそうです。

関東圏では見かけませんが、新潟の糸魚川では翡翠の原石を砂浜で拾う人がいますし、伊豆では瑪瑙やジャスパーが拾える浜もあります。石拾いもビーチコーミングの一種で、遠征してまで通う人がいるくらい奥が深い世界です。
ビーチコーミングで知られた浜
関東近郊でビーチコーミングに向いている浜をいくつか挙げます。
逗子海岸(神奈川)。 ビーチコーミングをしている方をよく見かけます。アクセスが良く、砂浜も広い。初めてのビーチコーミングにも向いています。
布引海岸(三浦半島)。 岩場と砂浜が入り組んでいて、漂着物の種類が多い。逗子で物足りなくなった人がここに来たら、拾えるものの量に驚くと思います。
材木座海岸(鎌倉)。 貝殻や陶片が豊富な浜として、ビーチコーミング愛好者の間では定番のスポットです。
富津岬(千葉)。 岬の先端で大潮の干潮時に広大な干潟が出現します。カシパンが拾えることで知られています。釣りをしないでビーチコーミング一択で行くなら、ここが一番面白いかもしれません。

沖ノ島海岸(館山)。 砂浜と岩場が交互にある地形で、貝殻やカシパン、シーグラスが豊富です。房総半島の南端に近く、南方由来の漂着物が見つかることもあります。
これらの浜は、投げ釣りやちょい投げのポイントとしても知られています。釣りとビーチコーミングを同じ日にやれる場所ばかりです。
釣れない時間の過ごし方として
潮止まりで竿に反応がなくなったとき、スマホを見て時間を潰すのもいいですけど、足元の砂浜を歩いてみると意外と面白い。
子どもと一緒に釣りに行って、飽きてしまったときの切り替え先としても使えます。「じゃあ砂浜で宝探ししよう」と声をかければ、竿を持っていなくても海辺で遊べる。透明の水汲みバケツに拾ったものを入れていくと、子どもは夢中になります。
冬場は釣りが厳しい日でもビーチコーミングなら楽しめます。冬の砂浜は人が少なくて漂着物が残っているし、季節風で新しいものが打ち上がる。釣りのオフシーズンに同じフィールドで別の遊び方ができるのは、なかなか贅沢です。
持ち帰りの注意
ビーチコーミングで拾ったものはほとんど持ち帰れますが、いくつか例外があります。
ウミガメの甲羅や骨格など、保護動物に関するものは持ち帰り不可です。国立公園や自然保護区内では採取が制限されている場合があります。漁業権が設定されている区域でのサンゴや貝の採取にも注意が必要です。
分からなければ、その場では写真だけ撮って帰るのが確実です。

葵ちゃんのまとめ
わたしは潮止まりに拾ったシーグラスをタックルボックスに入れっぱなしにしていて、釣りの準備をするたびに目に入ります。釣りのおまけみたいなものですけど、砂浜にいる時間を全部使って遊んでいる感じがして、ちょっと得した気分になります。
釣りに行って釣りしかしないのは、砂浜の半分しか使っていないのと同じかもしれません。