釣りはレジャーかスポーツか|消費カロリーから考えてみた
毎回ラーメンで締める人がいるんですが、大丈夫なんでしょうか
先輩は砂浜で5時間投げ釣りをして、帰りに反省会と称してラーメンを食べます。茅ヶ崎でボウズだった日も三浦で17尾釣った日もラーメンで締める。あの人にとって釣りは「ラーメンを食べるための前振り」なのかもしれません。
ところで、あの5時間で先輩はどのくらいカロリーを消費しているんでしょうか。砂浜を歩いて、投げて、サビいて、移動して、また投げて。「キスは足で釣れ」と本人が言っている通り、釣れない日ほどよく歩きます。反省会ラーメンはカロリー的に許されているのか。気になったので調べてみました。
MET値という指標がある
運動の強度を比較するために「MET(メッツ)」という指標があります。安静にしている状態を1として、その活動がどのくらいのエネルギーを使うかを数値化したものです。
アリゾナ州立大学の「Compendium of Physical Activities」という運動強度データベースに、釣りのMET値がちゃんと載っています。釣りが学術的に運動として分類されていること自体が面白いです。
釣りのスタイル別MET値
| 釣りのスタイル | MET値 | 相当する運動 |
|---|---|---|
| 船の上で座って釣り | 2.0 | 軽い家事・デスクワーク |
| 堤防で座ってサビキ | 2.5 | 皿洗い・ゆっくり散歩 |
| 堤防で立って釣り | 3.5 | 普通のウォーキング |
| 砂浜で移動しながら投げ釣り | 3.5〜4.0 | 早歩き |
| エギングでランガン | 3.5〜4.0 | 早歩き |
| 渓流で歩きながら釣り(ウェーダー着用) | 4.0〜6.0 | 軽いジョギング |
座って釣るサビキと、砂浜を歩きながら投げ釣りでは、消費カロリーが倍近く違います。
先輩の5時間で何kcal消費しているか
MET値から消費カロリーを計算する式があります。
消費カロリー = MET × 体重(kg) × 時間(h) × 1.05
先輩の体重を仮に70kgとして(本人には聞けないので仮です)、砂浜で移動しながらの投げ釣り(MET 3.5〜4.0)を5時間やった場合。
3.75 × 70 × 5 × 1.05 = 約1,378kcal
ラーメン1杯が500〜800kcalなので、先輩はラーメンを食べてもまだ500kcal以上のマイナスです。反省会ラーメンは消費カロリー的には許されています。
ちなみに堤防に座ってサビキを5時間やった場合は、
2.5 × 70 × 5 × 1.05 = 約919kcal
座っているだけでも919kcal。これは思ったより多いです。屋外で5時間活動しているだけで体はエネルギーを使っています。
他のレジャーやスポーツと比較してみる
| 活動 | MET値 | 5時間で消費(70kg) |
|---|---|---|
| テレビを見る | 1.0 | 368kcal |
| デスクワーク | 1.5 | 551kcal |
| 堤防でサビキ(座り) | 2.5 | 919kcal |
| 普通のウォーキング | 3.5 | 1,286kcal |
| 砂浜で投げ釣り(移動あり) | 3.5〜4.0 | 1,286〜1,470kcal |
| エギングでランガン | 3.5〜4.0 | 1,286〜1,470kcal |
| ゴルフ(カート使用) | 3.5 | 1,286kcal |
| 軽いジョギング | 7.0 | 2,573kcal |
砂浜の投げ釣りとゴルフがほぼ同じ運動強度です。ゴルフがスポーツなら、投げ釣りもスポーツと言い張れる根拠がここにあります。
エギングはどうか
わたしのメイン釣行であるエギングも計算してみます。
エギングのランガンスタイルは、堤防を移動しながらキャスト→シャクリ→回収を繰り返します。シャクリ動作は腕と体幹を使うので、単純な立ち釣りより負荷が高いです。MET 3.5〜4.0はあると思います。
3.75 × 55(わたしの体重は秘密ですが仮に) × 4 × 1.05 = 約866kcal
4時間のエギングで約866kcal。ケーキ3個分くらいです。ナイトエギングから帰って「頑張ったからアイス食べよう」と思うことがありますが、カロリー的にはアイスくらい余裕で許されていました。
「釣れない日ほどよく歩く」は本当
先輩の「キスは足で釣れ」という言葉の通り、投げ釣りは釣れないとポイントを移動します。砂浜を荷物を担いで歩く、また投げる、また歩く。釣れない日ほどこの移動距離が伸びます。
つまり釣果が出ない日ほど消費カロリーは高い。ボウズの日の方がダイエット効果がある。先輩の茅ヶ崎ボウズレポートは、釣果としては0点でしたが、運動としては満点だった可能性があります。
ただし釣り場ごはんで帳消しにしている可能性
ここまでの計算はあくまで消費カロリーの話です。
釣り場ごはんの記事で書いたように、バーナーでカップラーメンを食べ、スープジャーの味噌汁を飲み、おにぎりを食べ、コーヒーを飲み、帰りにラーメンを食べる——先輩の1日の摂取カロリーを考えると、消費と摂取でトントンか、むしろプラスの可能性があります。
釣りをダイエット目的で始めるのはおすすめしません。

葵ちゃんのまとめ
本記事の消費カロリーの計算は、アリゾナ州立大学「Compendium of Physical Activities」のMET値を元にした推定値です。実際の消費カロリーは個人の体重・年齢・体組成・気温・活動強度によって異なります。
「釣りはレジャーかスポーツか」への答えは、データ上は「軽い運動」です。MET値で見ると、座り釣りはデスクワークに毛が生えた程度ですが、砂浜のランガンやエギングのランガンはウォーキングと同等の運動強度があります。
でも釣り人が釣りを「運動のためにやっている」と言うことはないですよね。消費カロリーは結果であって目的ではない。海で5時間過ごして、魚を釣って(または釣れなくて)、帰りにラーメンを食べる。それが楽しいからやっている。
ただ「釣りって意外と体を使ってるんだよ」という話は、釣りをしない家族に「また釣り行くの?」と言われたときの免罪符にはなるかもしれません。「5時間で1,000kcal以上消費してるから、ジムに行くのと同じだよ」と。信じてもらえるかどうかは保証しません。