エルニーニョ・ラニーニャが海に与える影響|水温と釣果はどう変わるのか
2026年、スーパーエルニーニョの可能性が高まっています
2026年5月、米海洋大気局(NOAA)気候予測センターが発表した報告書によると、太平洋ではエルニーニョ現象が予想以上に急速に進行しており、秋から冬にかけて史上最強クラスの「スーパーエルニーニョ」となる可能性が高まっています。エルニーニョ現象のピークが強い、あるいは非常に強いレベルに達する確率は3分の2とされています。
気象庁の2026年4月のエルニーニョ監視速報でも、「今後、夏までにエルニーニョ現象が発生する可能性が高い(90%)」と予測されています。
エルニーニョという言葉はニュースでよく耳にしますが、釣り人として「海水温にどう影響するのか」「釣果はどう変わるのか」まで把握している人は少ないかもしれません。この記事で整理します。
エルニーニョとラニーニャの仕組み
まず「平常時」を理解する
太平洋の赤道付近には「貿易風」と呼ばれる東風が常に吹いています。この風が海面の暖かい海水を西側(インドネシア・フィリピン方向)に吹き寄せます。その結果、東側の南米ペルー沖では暖かい海水が減り、深海から冷たい海水が湧き上がります(湧昇流)。
この湧昇流は海底に堆積した栄養塩を海面に運び、プランクトンが大発生します。それを食べる魚が集まり、ペルー沖は世界有数の好漁場になっています。
エルニーニョ——暖かい海水が東に広がる
何らかのきっかけで貿易風が弱まると、西側に溜まっていた暖かい海水が東へ逆流します。ペルー沖の冷たい湧昇流が弱まり、海面水温が上昇します。この状態が6か月以上続く現象をエルニーニョ現象と呼びます。
発生すると平年より海面水温が1〜3℃上昇し、強いものは2度以上、スーパーエルニーニョは2度以上の上昇が長期間続きます。
ラニーニャ——逆に冷える
ラニーニャはエルニーニョの反対で、貿易風が強まることで暖かい海水がより西側に押し流され、東太平洋の海面水温が平年より低くなる現象です。
日本の気候への影響
エルニーニョとラニーニャは日本の気候にも明確な影響を及ぼします。
エルニーニョ発生時
- 夏:冷夏になりやすい(太平洋高気圧の張り出しが弱まる)
- 冬:暖冬になりやすい(偏西風が北にずれる)
- 梅雨:明けが遅くなりやすい
- 台風:発生数が減り、日本への接近も少なくなる傾向
ラニーニャ発生時
- 夏:猛暑になりやすい
- 冬:厳冬になりやすい(寒気が南下しやすくなる)
- 台風:発生が増え、勢力が強まりやすい
ただし「必ずそうなる」ではなく「そうなりやすい」という傾向です。毎回同じ結果になるわけではありません。
海水温への影響——釣り人が知っておくべきこと
日本の沿岸海水温も変化する
エルニーニョの直接的な影響は太平洋赤道域に集中しますが、大気を通じて日本の沿岸海水温にも影響が及びます。
エルニーニョ発生時は日本近海でも海水温が平年より高めになりやすい傾向があります。冷夏・暖冬という気温の変化と合わせて、海水温の上昇・下降がシーズンをずらす形で釣果に影響します。
魚の適水温と分布域の変化
魚にはそれぞれ「適水温」があります。ブリは最低水温16℃以上、サワラは最低水温12℃程度、シロギスは14〜28℃が適水温帯と言われています。
海水温が変わると魚の分布域も変わります。水温が高くなると暖水を好む魚が北上・深場から浅場へ移動します。水温が低くなると冷水を好む魚が南下、暖水を好む魚は沖の深場に落ちます。
実際に近年、サワラの漁獲が日本海北部や太平洋北部でも見られるようになり、以前より北の漁港で水揚げされるようになっています。これは地球温暖化による長期的な水温上昇と海流の変化が絡んでいますが、エルニーニョ発生年の暖水の影響もその一因とされています。
エルニーニョ年の釣りへの影響
夏の冷夏は「水温が上がりにくい」
エルニーニョ発生年の夏は冷夏傾向になります。日本の沿岸でも水温の上昇が鈍くなることがあり、水温上昇を待って浅場に接岸する魚のシーズンが遅れたり、接岸数が少なくなったりする可能性があります。
シロギスが本格的に浅場に接岸する目安は水温17〜18℃です。冷夏の年はこの水温に達するのが遅れ、シーズン開幕が例年より後ろにずれることがあります。
暖冬は「水温が下がりにくい」
エルニーニョ発生年の冬は暖冬傾向です。水温が例年より高めに維持されると、本来は深場に落ちるはずの魚が浅場に残り続けることがあります。
秋の落ちギスが長く残ったり、青物の接岸期間が延びたりといった「当たり年」的な現象が起きることがあります。ただしこれも傾向であり、局所的な海況や天候によって大きく変わります。
ラニーニャ年の厳冬は「水温が急激に下がる」
ラニーニャ発生年の冬は厳冬傾向です。水温が急激に下がると魚の活性が一気に落ちます。普段は穏やかに進む「落ち」が急速に進み、気づいたら魚が消えていたという展開になりやすいです。
知っておくと役立つ「エルニーニョと釣り」の考え方
釣り人として覚えておくべきポイントを整理します。
シーズンを「水温」で考える習慣をつける
エルニーニョ・ラニーニャの発生年はシーズンのズレが大きくなりやすいです。例年の感覚で釣り場に行くより、実際の水温データを確認してから判断する方が精度が上がります。Tsuricastでは各スポットの水温データを提供しています。
ニュースで「エルニーニョ発生」を見たら何を考えるか
- 今年の夏は冷夏傾向→シーズン開幕が遅れる可能性
- 今年の冬は暖冬傾向→秋の釣りが長引く可能性、冬でも魚が残る可能性
- ラニーニャ発生→夏は猛暑・水温が上がりすぎて青潮リスク、冬は厳冬・魚の落ちが早い
長期的な水温上昇も意識する
エルニーニョ・ラニーニャとは別に、地球温暖化による長期的な海水温の上昇が進んでいます。黒潮の流れが変化し、日本の沿岸は「気候系ホットスポット」として世界でも特に海水温上昇が顕著なエリアとなっています。かつては九州・西日本でしか見られなかった魚種が東北や北海道で水揚げされるようになった背景には、この長期的な変化があります。
2026年の釣りへの影響
気象庁の予測では、2026年夏までにエルニーニョ現象が発生する可能性が90%、そのまま冬まで続く可能性も高いとされています。
エルニーニョ発生年の傾向として、2026年は以下の可能性があります。
- 春〜夏:水温上昇が鈍い可能性→キス・アジ等の浅場接岸シーズンが例年よりやや遅れるかもしれない
- 秋:暖秋傾向→落ちギスのシーズンが長くなる可能性
- 冬:暖冬傾向→例年より長く魚が浅場に残る可能性
あくまで「傾向」の話です。エルニーニョ発生年でも局地的な海況・天候・黒潮の位置によって全く異なる結果になることもあります。
店長の結論
「釣れない理由」のひとつとして、気候サイクルを知っておく価値があります
エルニーニョ・ラニーニャは数年単位で繰り返す大きな気候のサイクルです。個々の釣行の釣果に直接影響するというよりは、そのシーズン全体の傾向として水温・分布・接岸時期に影響します。
「例年よりシーズンが遅い」「いつもはいるはずの魚がいない」という経験は、天気だけでなくこうした大きな気候サイクルと関係していることがあります。
Tsuricastの各スポットページで水温データと潮汐を確認してから釣行の計画を立ててください。
本記事の気候情報は気象庁・NOAAの公開データをもとにした解説です。エルニーニョ・ラニーニャの釣果への影響は傾向であり、実際の釣果は個別の海況・天候・地域特性によって大きく異なります。最新の気象情報は気象庁エルニーニョ監視速報でご確認ください。