先輩からシロギス20尾もらった話|暑い日に揚げ物したくない人のローテーション
「冷凍庫が開きのシロギスでいっぱいだから」
先輩から連絡がありました。
「シロギス20尾釣れたんだけど、いる?」
もらう理由を聞いたら、「冷凍庫が開き(背開き)にしたシロギスでいっぱいだから」とのこと。毎回の釣行でシロギスが釣れて、その都度開いて冷凍しているうちに、冷凍庫がシロギスに占拠されたようです。
ありがたく20尾いただきました。
ここで気づいたことがあります。先輩がシロギスを全部「開いて冷凍」しているのは、たぶん天ぷらとピンギスの唐揚げくらいしか調理法が頭にないからです。開き(背開き)は天ぷら・フライ用の下処理なので、それしか作らないなら開きばかりが冷凍庫に溜まっていく。
しかも今は夏です。暑い時期に油を熱々にして揚げ物をする気力、正直あまりありません。コンロの前に立つだけで汗が噴き出す季節に、天ぷらもフライも、できれば避けたい。
そこで、揚げ物に頼らない調理法を中心に、サイズ別に整理してみました。先輩にも教えてあげようと思います。
シロギスは天ぷら以外でも美味しい魚
そもそもシロギスが「天ぷらの魚」というイメージが強いのは、天ぷらとの相性が抜群にいいからです。淡白な白身、上品な甘み、ふわっとした食感。これは間違いない事実です。
ただ、淡白で癖のない白身だからこそ、実は天ぷら以外の調理法にも幅広く対応します。しかも国産の天然シロギスは底引き網で漁獲しづらく、スーパーにはほとんど流通しません。天ぷら以外の食べ方を知っているかどうかで、釣り人の特権をどれだけ活かせるかが変わります。
シロギス料理をサイズ別に
20尾を一気に同じ料理にせず、サイズによって向く調理法が変わります。大物・中型・小型(ピンギス)の3グループに分けて考えると迷いません。
大物が釣れたら(塩焼き・できれば炭火で)
大物が釣れたら、まずは塩焼きです。刺身や昆布締めも美味しいですが、それらはおろす手間がかかる点では中型と変わりません。大物ならではの贅沢は、大きな身をそのまま焼いて食べる塩焼きだと思います。
塩焼き(パターン①・フライパンでも炭火でも)
ウロコと内臓を取って塩を振り、弱火でじっくり焼くだけ。揚げ油を使わないので、暑い日でも気軽に作れます。皮はパリッと香ばしく、身はふわっと仕上がります。焦げやすいので弱火が鉄則です。20cmクラスの塩焼きは、それだけで食べ応えがあります。
特に大物が数尾まとまったら、炭火の遠火でじっくり焼くのがおすすめです。熊本の実家に帰ったときに20cm級がボコボコ釣れて、炭火の遠火で焼いたことがあるんですが、皮はパリッと、身はホクホクで絶品でした。フライパンの塩焼きとはまた違う仕上がりになります。炭火の準備がある日、大物がまとまって釣れたらぜひ試してほしい食べ方です。
おろせるサイズ向け(中型・3枚おろしか背開き)
3枚おろしや背開きができるサイズは、生食から加熱、保存食まで幅広く対応できます。
刺身・炙り(パターン②)
鮮度がいいうちに食べるなら刺身です。皮を引いて薄造りにするか、皮目をバーナーで炙って「焼き霜造り」にするのもおすすめです。皮目に脂が乗っているので、炙ると香ばしさが加わります。氷水で軽く締めて、ポン酢や醤油わさびでどうぞ。釣れたてか、その日のうちに食べるのが前提の食べ方です。
昆布締め(パターン③)
酒を含ませたキッチンペーパーで昆布を拭き、シロギスの身を昆布で挟んでラップに包み、冷蔵庫で3時間ほど置く。昆布の旨味が身に移って、日本酒によく合う一品になります。酢締めにしてから昆布締めにするアレンジもあり、酸味と昆布の旨味が重なった味わいが楽しめます。
しゃぶしゃぶ(パターン④)
シロギスは実はしゃぶしゃぶに向いている魚です。3枚におろすときに出る中骨と頭で出汁を取り、その出汁でしゃぶしゃぶにします。
昆布だしをベースにしても美味しい。ポン酢・もみじおろし・小葱でさっぱり食べられます。皮目を軽く炙ってからしゃぶしゃぶにすると、香ばしさも加わります。梅雨時や、夏でも夜は肌寒い日にちょうどいい食べ方です。
煮付け(パターン⑤)
淡白な白身は煮付けにも向いています。醤油をやや濃いめにした甘辛い味付けで、酢を加えて弱火でコトコト煮ると、骨まで柔らかくなります。まとめて煮ておけば、数日分のおかずになります。
開き干し(パターン⑥)
先輩が冷凍していた「開き」は、揚げるだけでなく干物にもできます。背開きにして塩水に漬け、天日か冷蔵庫の脱水シートで干すだけ。背開きにする作業は下処理として必要なので、ある程度の大きさがある中型が向いています。
干物にしておけば、あとは焼くだけで食べられます。冷凍すれば数週間持つので、大量にもらったときの保存手段としても優秀です。先輩の冷凍庫の開きも、揚げずに干物にすれば消費のバリエーションが増えます。
ピンギス消費向け(小型・頭と腹を落とすだけ)
小さいピンギスは3枚おろしができないので、頭と腹を落とすだけで丸ごと使える調理法が向いています。
丸ごと南蛮漬け(パターン⑦)
ピンギスは頭を落として腹を出したら、そのまま丸ごと調理できます。片栗粉をまぶして揚げ、玉ねぎと一緒に甘酢に漬け込むだけ。小さいので骨まで柔らかく揚がり、骨ごと食べられます。カルシウムも丸ごと摂れて、数日置くと味が染みて美味しくなります。
揚げ物ではありますが、ピンギスは小さいので油の量も少なく、揚げ時間も短くて済みます。数釣りで小さいサイズが大量に混じったら、まとめて南蛮漬けにしてしまうのが手っ取り早いです。作り置きできるので、暑くて料理したくない日の常備菜にもなります。
下処理のポイント
シロギスの身はやわらかく崩れやすいので、捌くときは刃の薄いナイフを使うと失敗が少ないです。
ウロコは細かいので、包丁の切っ先でこそぐように引き落とします。頭とエラを切り落として内臓を出し、腹の中の血合いまできれいに水洗いする。ここまでが下処理の基本です。刺身用には3枚おろしか大名おろし、干物用には背開き、ピンギスは頭と腹を落とすだけ。
大名おろしは、頭を落として内臓を取ったあと、中骨に沿ってそのまま身を引き剥がす簡易的なおろし方です。数が多いときは、これで工程を短縮できます。
保存については、釣れたらすぐに氷を入れたクーラーボックスへ。冷やしが不十分だと身がやわらかく崩れやすくなります。
数日に分けて食べる場合の保存方法
20尾を1日で食べきるわけではないので、サイズ別に下ごしらえの状態で分けて保存しておくと、その日の気分で調理法を選べます。
大物(塩焼き):内臓とウロコを取ったらラップに包んで冷蔵庫へ。塩焼きは冷蔵で数日は問題ありませんが、大物を炭火で焼くなら鮮度のいいうちがおすすめです。
中型(当日〜数日以内):刺身・炙り・昆布締め用はできるだけ早く、遅くとも翌日中に。しゃぶしゃぶ・煮付け用は3枚おろしや大名おろしにした状態で1食分ずつラップに包み、保存袋に入れて冷蔵庫へ。この状態で3日程度は問題ありません。
それより先に食べる分(冷凍):3枚におろした状態、または背開きにした状態で1食分ずつ小分けにし、ラップでぴったり包んでから保存袋に入れて冷凍します。空気に触れる面を減らすと乾燥や酸化を抑えられます。使うときは冷蔵庫でゆっくり解凍すると身崩れしにくいです。
保存食にしてしまう:開き干しと丸ごと南蛮漬けは、加工してしまえばそれ自体が保存の効く形になります。干物は冷凍で数週間、南蛮漬けは冷蔵で数日持ちます。「まず開き干しか南蛮漬けにしてしまう」のも、大量にもらったときの現実的な一手です。
20尾をどう振り分けたか
もらった20尾は、サイズを見ながらこう振り分けました。
大物(3尾):塩焼きに。炭火で焼けたら理想。
中型(13尾):刺身・炙り3尾(当日〜翌日で消費)、昆布締め2尾、しゃぶしゃぶ4尾、煮付け2尾、開き干し2尾。
ピンギス(4尾):まとめて丸ごと南蛮漬けに。作り置きの常備菜として。
サイズごとに分けておくと、大物は塩焼きですぐ食べ、中型は3枚おろしや背開きにして数日かけて消費、ピンギスは丸ごと南蛮漬けにして常備菜、という流れが自然に決まります。刺身用だけ先に確保して、残りはそのときの気分で食べる順番を決めました。

葵ちゃんのまとめ
本記事のシロギス料理は、TSURI HACK・ORETSURI・Honda釣り倶楽部・楽天レシピ・マカロニの各サイトを参考にしています。鮮度が落ちやすい魚なので、生食する場合は釣行当日〜翌日を目安にしてください。
シロギスは毎回よく釣れる魚なので、天ぷらのローテーションだけだと確実に飽きます。しかも夏は暑くて揚げ物の気分になれない日が多い。
サイズで振り分けるのがコツです。大物は塩焼き、できれば炭火の遠火で。おろせる中型は刺身・炙り・昆布締め・しゃぶしゃぶ・煮付け・開き干しと幅広く。ピンギスは頭と腹を落として丸ごと南蛮漬けに。揚げ物に頼らなくても、どのサイズにも合わせられる懐の広さがシロギスにはあります。
先輩がシロギスを全部「開いて冷凍」していたのは、たぶん天ぷらと唐揚げしか作らないからです。今度会ったら、開きは干物にもできること、大物は炭火で塩焼きが最高なこと、ピンギスは丸ごと南蛮漬けにできることを教えてあげようと思います。冷凍庫が開きだらけにならずに済むはずです。
熊本の実家で20cm級がボコボコ釣れたときの炭火遠火焼きは、今でも一番印象に残っている食べ方です。大物がまとまったら、また試したいと思っています。