釣りから帰ったら砂との戦いが始まる|住環境別の現実解

砂は家まで付いてくる

砂との戦いはサーフフィッシング特有の問題です。磯釣りや堤防釣りではここまで砂に悩まされることはありません。砂浜に立った瞬間から、道具も服も靴も砂を吸収し始めます。

釣りが終わって「今日は楽しかった」と帰宅する。その瞬間から砂との戦いが始まります。

先輩が子供たちとの釣り行事を終えた翌日、「今、砂との戦いをしています」とメッセージが来ました。クーラー、竿、リール、エサ箱、水汲みバケツ、仕掛けを持ち歩くためのカゴ、竿をまとめて持ち歩くための大きなバッグ、果てはカゴの中に入っていた未使用の仕掛けまで、全部砂だらけ。

「家も砂だらけです。子供は途中から砂遊びして家に上がるし、大人も足に砂が付いてくる」とのこと。

サーフで釣りをしたことがある人なら、全員経験していることです。


浴室で洗ってはいけない理由

「浴室で洗えばいいんじゃ」と思う方もいると思いますが、砂は排水詰まりの原因になります。

排水管の中にはS字トラップという構造があり、砂のような比重の重いものが溜まりやすい。浴室はS字トラップが急な構造なので特にリスクが高い。砂が少量ずつ積み重なって、ある日突然流れなくなる。

先輩の奥さんが「排水溝に砂が詰まるから浴室は使わないで」と断ったのは、正しい判断でした。


住環境によって正解が違う

砂対策は「一律この方法で」とはいきません。住環境によって使える手段が全然違います。

戸建て・庭に屋外水栓がある人

一番恵まれた環境です。庭にホースを引いて全装備を洗い流す。砂は庭に落としてそれで終わり。

羨ましいです。本当に。

マンション・広めのベランダがある人(先輩の家)

先輩はベランダが広いので、充電式の高圧洗浄機をベランダで使って洗っています。本来の「コンクリートをこそぎ落とす」水圧はないけど、砂を洗い飛ばすくらいの威力はある。投げ釣りソロならバケツ1杯で十分、道具の多い釣りでも20リットルくらいで全装備を洗える。

ただしベランダ水栓がない物件がほとんどなので、室内からバケツで水を運ぶ手間がかかります。充電式なのでコンセントなしで動くのが利点。

「広いベランダがあるらしくて羨ましいです」と先輩に伝えたら、特に何も言っていませんでした。

マンション・標準的なベランダ(わたしの家)

一番制約が多いパターン。ベランダは洗濯を干すのに必要なスペースしかない。浴室は排水詰まりのリスクがある。

この環境では、釣り場での予防が全てです。帰宅後の対処には限界があるので、砂を持ち込まない工夫に全振りするしかありません。

釣具店の道具洗い場

まれに、道具洗い場を設けている釣具店があります。「ここで魚を捌かない」と貼り紙してあるのが定番。見かけたらラッキーです。


釣り場でできる予防(持ち込まない工夫)

砂を家に持ち込む量を最小化するための手順です。

道具の砂払い

サイドボックスに100円ショップで買ったブラシを入れておく。サッシのレール掃除用のブラシ(毛が硬いもの)が砂を払うのに向いています。毛の柔らかいブラシでは砂が落ちにくいので注意。釣り場を離れる前に、クーラーボックスの底・竿尻・エサ箱をさっと払います。この一手間が帰宅後の作業量をかなり減らします。

服の砂払いには洋服用ブラシが必要です。生地を傷めないよう、用途に合ったものを使い分けてください。

クーラーボックスは灯油受け皿の上に置くと、底面の砂が受け皿で止まって車内への砂侵入を防げます。10リットルくらいのクーラーボックスなら灯油受け皿がサイズ的に合いやすいですが、クーラーのサイズに合わせて何かを探すしかありません。ラゲッジスペース全体をアウトドア用のマットにしてしまうのも手です。

靴と足の砂払い

車に乗り込む前に靴の底をパンパンと払う。または釣り場で靴を履き替えてから乗り込む。余裕があれば靴下も替える。

靴の中の砂は、中敷きを抜いて払わないと後から出てきます。中敷きを外す一手間が重要です。

車内への砂侵入を最小化

砂嵐に遭ったような日は、できる限り釣り場でブラシを使ってから乗り込む。それでも砂は入ります。

先輩が今回、一緒に釣りに行った家族の車について「気づいたら砂まみれで今頃ゲンナリしているでしょう」と言っていました。


帰宅後の対処

玄関先での処理

玄関に入る前に靴下を脱いで足を払う。足を払ってから家に上がって、浴室で足だけ流す。足だけなら少量の砂なので浴室で流しても問題ありません。

浴室での道具洗い(少量なら可)

ソロ釣行の規模なら浴室で洗っても問題になりにくいです。ただ浴室の排水は水平に近い構造上、砂が蓄積しやすい。少量ずつ流して、定期的に排水口のゴミ受けを掃除する習慣をつける。

砂嵐に遭遇した日は浴室に直行します。耳の穴の中から砂が出てくる。頭もジャリジャリする。でも脳内はリールの心配でいっぱいです。

屋外で洗えない場合の道具の処理

バルコニーや屋外で洗えない環境では、

  1. 釣り場でブラシを使って最大限払う
  2. ビニール袋に道具を入れてから室内に持ち込む
  3. 浴室で少量ずつ洗う(排水に大量に流さない)
  4. リールは水道の蛇口から細い水流で丁寧に洗う(高圧洗浄機は使わない)

道具別の砂の影響

リール

砂はリールの大敵です。高圧洗浄機をリールに直接当てないでください。 ベアリング部分や内部のグリスに水が浸入して、腐食や動作不良の原因になります。

リールは水道の蛇口から細い流水で表面を流す程度にとどめて、内部のオーバーホールは定期的に釣具店に持ち込むのが正解です。

リールのオーバーホール

竿

竿はブラシで砂を払って、蛇口から水を流して洗う。並継竿は節を外して洗えるので塩抜きが楽です。振出竿は節の内部に砂が入りやすいので、伸ばした状態でしっかり水をかけて乾かす。

クーラーボックス

外側は高圧洗浄機かブラシで払う。内側は使用後すぐに水洗いしておくと砂と汚れが固まらない。


葵ちゃん

葵ちゃんのまとめ

釣り場の砂は、道具・服・靴・車・家の中まで遠慮なく付いてきます。住環境によって使える対策が違うので、「正解はひとつ」ではありません。

戸建て・広いベランダがある人はできる限り屋外で洗う。マンション・標準ベランダの人は釣り場での予防に全振りする。浴室での砂の大量処理は排水詰まりのリスクがあるので、少量ずつを心がける。

100円ショップのブラシをタックルボックスに入れておくだけで、帰宅後の作業量がかなり変わります。

砂との戦いに完全な勝利はありません。ただ、釣り場でブラシを使う一手間が、帰宅後の戦線を少しだけ有利にしてくれます。


本記事の排水詰まりに関する情報は、水道修理業者の公開情報を参考にしています。砂の量や排水管の構造によって詰まりのリスクは異なります。気になる場合は専門業者にご相談ください。