釣った魚を捌くためのキッチン術|包丁選び・ウロコ取り・後片付けまで
キスを捌くときにペティナイフを使っています
先輩に三浦のキスを5尾もらって初めて捌いた日、万能包丁でやろうとして少し手こずりました。小さい魚には大きすぎる刃が邪魔で、背開きの細かい作業がやりにくかったんです。
その後ペティナイフで試したら、格段に扱いやすくなりました。小回りが効いて、キスの細い背骨に沿って刃を入れやすい。それ以来、キスやハゼなどの小型魚はペティナイフ一択です。
釣った魚を美味しく食べるためには、捌く道具と後片付けの方法が重要です。この記事では包丁の使い分けからウロコの取り方、捌いた後のキッチンの臭い対策まで整理します。
包丁の使い分け:魚のサイズで選ぶ
出刃包丁:中型以上の魚に必須
釣り人なら1本持っておいてほしい包丁です。刃が厚くて重く、魚の骨を断ち切る力があります。
出刃包丁には片刃と両刃があります。片刃は片側だけに刃がついていて、日本の伝統的な形。刃を入れる方向が決まっているため、慣れると魚の骨に沿わせやすく三枚おろしがきれいに決まります。ただし右利き用・左利き用が別になります。両刃は洋包丁のように両側に刃がついていて、右でも左でも使えます。魚を捌くことに慣れていない方は両刃の方が扱いやすいです。
真鯛・カサゴ・メジナのような骨が太い魚を万能包丁で捌こうとすると、骨に当たった瞬間に刃こぼれしたり、力が入りすぎて手が疲れます。真鯛の頭を落とすとき、カサゴのえら骨を断つとき——出刃包丁の刃の厚みが力を骨に伝えます。
アジ・サバ・イワシなどの中型魚にも出刃が使いやすいです。三枚おろしも出刃の方がスムーズに進みます。
ペティナイフ:小型魚の細かい作業に
12〜15cm程度の小さいペティナイフは、キス・ハゼ・小アジなど小型魚の背開き・腹開きに向いています。刃が薄くて小回りが効き、小さい魚の細かい骨に沿って刃を入れやすいです。
果物ナイフでも代用できますが、刃の薄さと取り回しのしやすさではペティナイフの方が使いやすいです。
万能包丁(三徳包丁):正直、魚には力不足
家庭でよく使われる万能包丁は、野菜・肉・魚に使える汎用品として作られています。でも骨が硬い魚の場合は刃が骨に負けてしまい、刃こぼれの原因になります。
「出刃が1本あれば万能包丁でも補えるか」というと、小型魚の細かい作業(背開き・フィレット)では万能包丁は少し大きすぎます。
おすすめの揃え方:出刃包丁(小〜中)+ペティナイフの2本体制が釣り人には現実的です。
ウロコの取り方:4つの方法
ウロコ取りはやり方によって飛び散り具合が大きく変わります。
① 包丁の背でこそぐ(定番だが飛び散る)
包丁の背(峰)を使って尾から頭方向にこそぎます。道具が要らないのが利点ですが、ウロコが四方八方に飛びます。キッチン全体にウロコが散るのが悩みの種です。
シンクの中でやる、深めのボウルの中に魚を入れてやる、など「飛び散りを閉じ込める工夫」とセットで使ってください。
② ウロコ取り専用の器具(飛び散り防止カバー付きが便利)
釣具店やキッチン用品店で売っている専用のウロコ取り器です。背びれ・腹びれの際の細かい部分もきれいに取れます。
カバー付きのタイプはウロコが内部に収まるので飛び散りが少ない。釣りを本格的にやるなら1本あると便利です。
③ ペットボトルの蓋(意外と使える)
ペットボトルの蓋のギザギザした部分でこそぐと、意外なほど綺麗にウロコが取れます。使い捨てできるので後処理が楽です。洗い物が出ないのが最大の利点。
本格的な専用器具には劣りますが、「取り急ぎウロコを取りたい」「道具を増やしたくない」という場面では十分使えます。
④ ビニール袋の中でこそぐ(飛び散り防止の最強策)
大きいビニール袋の中に魚を入れて、袋の外から手でウロコ取りを持って作業します。ウロコが袋の中に全部収まるため飛び散りがゼロになります。
袋ごと捨てられるので後処理も楽。ただし大きい魚だと作業しにくいので、中型以下の魚向けの方法です。
捌いた後のアラ・内臓の臭い問題
釣り人のキッチンで一番の悩みが、捌いた後のアラと内臓の処理です。
普通のポリ袋に入れてゴミ箱に捨てても、すぐに臭ってきます。ゴミの日まで数日ある場合は特に問題です。
冷凍してゴミの日まで保管する
最もシンプルな解決策は、アラと内臓を密閉してそのまま冷凍することです。凍っている間は腐敗が止まるので臭いが出ません。ゴミの日の朝に冷凍庫から出してゴミに出せばいいです。
ただし「魚のアラが冷凍庫に入っている」ことへの家族の反応は、ジャリメの冷蔵庫問題と同じ構図で発生する可能性があります。
BOS防臭袋を使う
BOS(ボス)の防臭袋がキッチンに革命をもたらします。元々は医療現場での臭い対策のニーズから生まれた防臭袋で、特殊な多層フィルム構造で臭い分子を閉じ込めます。その技術をおむつ・生ゴミ用に展開したものが一般向けのBOSです。
普通のポリ袋では数時間で臭いが漏れ始めますが、BOSは数日経っても臭いが外に出ません。アラと内臓をBOSに入れて密閉するだけで、ゴミ箱からの臭いがほぼゼロになります。
以前は捌いた後のゴミの臭いで家族から「また魚臭い」と言われていましたが、BOSを使い始めてから指摘されなくなりました。サイズはSかMが魚のアラには使いやすいです。
釣り具店では売っていないので、ドラッグストアやオンラインで購入してください。
まな板・包丁の洗い方
まず冷水で洗う(熱湯は最初にかけない)
魚のタンパク質は熱で固まります。捌いた直後に熱湯をかけると、タンパク質がまな板や包丁に固着して臭いの原因になります。
必ず最初は冷水で流してから洗剤で洗い、汚れを落とした後に熱湯で仕上げてください。この順番を守るだけで、後の臭いが大きく変わります。
まな板の素材別の洗い方
プラスチックのまな板
食器用洗剤でスポンジ洗い→スプレータイプの塩素系漂白剤を吹きかけて30秒→水で洗い流す。塩素系漂白剤が使えるのでプラスチックは除菌・消臭がしやすいです。
魚を切る前にまな板をさっと水で濡らしておくと、臭いや汚れが染み込みにくくなります。
木のまな板
食器用洗剤でスポンジ洗い→重曹をまぶしてタワシでこする→水で洗い流す→熱湯をかけて除菌。木のまな板は塩素系漂白剤が使えない(シミになる)ので重曹が代替になります。
重曹のかわりにあら塩でこすっても同様の効果があります。
臭いが取れない場合はレモンの切り口でこすると、酸性の成分が臭いを中和します。
包丁の洗い方
食器用洗剤で洗ったらすぐに拭いて乾かしてください。濡れたまま放置すると錆の原因になります。
塩素系漂白剤はステンレス以外の金属には使えません。鋼(はがね)の包丁に塩素系漂白剤をかけると錆が出ます。包丁の素材を確認してから使ってください。
換気扇は捌く前からつける
魚を捌くときは換気扇を最初につけてください。捌き終わってからでは遅い。臭いが壁やカーテンに染み込む前に換気を始めておくのが基本です。
生臭さ対策の記事と合わせて読んでいただくと、より完全な対策ができます。

葵ちゃんのまとめ
本記事は釣具店での接客経験と、スタッフの実体験をもとにした内容です。包丁の素材・まな板の素材によって使用できる洗剤・漂白剤が異なります。必ず製品の表示を確認してから使用してください。
一人暮らしを始めてから、釣った魚を自分で捌くようになりました。最初は包丁1本でどうにかしようとして、キスの背開きがうまくいかなかったり、まな板が魚臭くなったりと失敗を重ねました。
ペティナイフを買って、BOS防臭袋を使い始めて、「冷水から洗う」という順番を覚えてから、格段に捌いた後のキッチンがきれいになりました。道具と手順を少し整えるだけで、釣った魚を捌くハードルが下がります。
なお、ディスポーザー付きの物件に住んでいる方はアラを直接流せるので、この悩みから根本的に解放されます。物件選びの軸にするほどではないかもしれませんが、釣り人的には加点ポイントです。
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