春の釣りの服装|気温差が大きい季節の重ね着の考え方

「何着ていけばいいですか?」——春が一番聞かれます

釣具店のアパレルコーナーで接客していると、春は服装の相談がぐっと増えます。夏は涼しい格好、冬は防寒、とシンプルですが、春は正直むずかしい。

朝は10℃以下なのに昼には20℃を超える。風が止むと暑くて、吹くと一気に寒い。日差しは強いのに海沿いはひんやりする。「何を着ていけばいいか」が一番分かりにくい季節です。

わたしはお客さんにいつもこう答えています。「朝の気温で選んで、昼に脱げる準備をしてください」と。


よくある失敗パターン

先に失敗例を整理します。

薄着で行って朝が寒すぎた

昼の気温だけ見て出発するとこうなります。海沿いは体感温度が陸より低いです。朝マズメから入る場合は特に注意してください。

厚着すぎて昼に動けなくなった

冬のままの服装で行くと昼前には汗だくです。脱いだものを置く場所にも困ります。

風対策を忘れた

春は風が変わりやすいです。穏やかな予報でも急に強くなることがあります。風が通る服だと体が冷えます。


基本は「3レイヤー」で考えてください

気温差が大きい場面での服装は重ね着が基本です。釣りの場合、3層で考えると整理しやすいです。お客さんにも毎回この話をしています。

1層目:インナー(汗を逃がす)

綿は避けてください。汗を吸ったまま乾かないので、風が当たると一気に冷えます。速乾性のあるポリエステル系か、ウール素材のインナーが向いています。

4月でも朝の気温が10℃を下回る日はあります。薄手のヒートテック系でも問題ありませんが、昼に動くことを考えると厚すぎないものを選んでください。

2層目:ミドルレイヤー(体温を保つ)

フリースや薄手のソフトシェルが使いやすいです。暑ければ脱ぐ、寒ければ着る、の中心になる層です。フードなしのシンプルなフリースが1枚あると、春の釣りにかなり重宝します。

3層目:アウター(風と水を防ぐ)

春の釣りで一番大事な層です。風を通さないこと、多少の水しぶきや小雨に対応できることが条件です。釣り用のレインウェアがあればそれで十分。防水透湿素材のものなら風対策と雨対策を兼ねられます。

わたしは春のエギングではアウターを必ず持っていきます。朝は着込んで、昼前に暑くなったらミドルレイヤーを脱いでアウターだけにする。風が出てきたらミドルレイヤーを戻す。この出し入れが春の釣りの快適さを決めます。脱いだものはタックルバッグに突っ込めるよう、畳みやすい素材が便利です。


気温別の目安

春は朝と昼で気温がかなり変わります。出発時刻と帰宅時刻の両方の気温を確認してから服装を決めてください。

朝10℃以下の日

インナーはやや厚め、フリースは必ず持つ、アウターは風を通さないものを。手袋と耳を覆えるものがあると朝の釣りが楽です。

朝10℃・昼20℃を超えそうな日

インナーは薄め、フリースは脱いでバッグに入れられる準備を。アウターは軽量で畳めるものが便利です。一番調整が難しい日ですが、3レイヤーの出し入れで対応できます。

昼でも15℃前後の日

3レイヤーそのままで問題ないことが多いです。風が強い日はアウターをしっかり着込んでおいてください。


足元と手元も忘れずに

服装の相談で見落とされがちなのが足元と手元です。アパレルコーナーでは上半身の話になりがちですが、ここも大事です。

堤防や港ならソールがしっかりしたスニーカーかトレッキングシューズが向いています。春は苔や濡れた護岸で滑りやすいので薄底のものは避けてください。サンダルは論外です。

手袋

朝の気温が10℃以下なら薄手のグローブがあると仕掛け作業が楽です。指先が出るタイプだと細かい作業もしやすい。リーダーを結ぶときに指がかじかんでいると精度が落ちるので、道具の問題だけでなく釣果にも影響します。

帽子

春の日差しは思っているより強いです。帽子・サングラスの記事でも書きましたが、つばのある帽子は日焼け対策と風よけを兼ねられます。


釣り専用品じゃなくても大丈夫です

アパレルコーナーで接客しているとこう聞かれることがあります。「釣り用のウェアじゃないとだめですか?」

だめではないです。手持ちのアウトドアウェアやスポーツウェアで十分対応できます。大事なのは「速乾性のインナー」「脱ぎ着しやすいミドルレイヤー」「風を通さないアウター」という3層の考え方であって、ブランドや釣り専用かどうかは二の次です。

ただし釣り用ウェアには、ロッド操作の邪魔にならない肩まわりの設計、ルアーケースやプライヤーが入るポケット配置、止水ファスナーなど、釣りの動作に合わせた工夫があります。頻繁に釣行するなら検討する価値はあります。


向かない服装

接客で「これはやめた方がいいですよ」と言うことがあるものです。

綿素材のスウェットは汗冷えします。着脱しにくいプルオーバーは調整ができません。冬用の厚いダウン単体は暑くなったとき逃げ場がありません。そしてサンダルや薄底のスニーカーは堤防では滑りやすく危険です。


葵ちゃん

葵ちゃんのまとめ

春の釣りの服装は「朝の気温で選んで、昼に脱げる準備」が正解です。昼の気温で決めると朝が寒く、朝の気温で決めると昼に動けなくなります。3レイヤーの重ね着で、脱ぎ着しながら調整するのが春の釣りのコツです。

わたしは「装備して行く派」です。寒さは装備で対応できるものなので、寒くて釣りにならないのは判断の問題だと思っています。逆に雨具着てまで釣りはしない派なので、雨予報の日は家でリール磨いてます。

荷物は増えますが、春はそれが正解です。「一枚多い」くらいがちょうどいい。お店で迷ったら「朝の気温いくつですか?」と聞いてください。そこから一緒に考えます。


釣り場の天候は急変することがあります。出発前にTsuricastのスポットページで気象情報を確認してください。