アジは底、サバは上|サビキで釣れる3種の泳ぐ層が違う話

堤防でサビキ釣りをしている親子連れを見ていると、ときどき声をかけたくなります。

アジが釣れているのに仕掛けを浅いところにしか入れていない。逆にサバが回っているのに底まで落としてしまっている。隣の人が入れ食いなのに自分だけ釣れない。その原因のほとんどは、仕掛けを入れている深さ——タナが合っていないことです。

アジサバイワシはどれもサビキで釣れる回遊魚ですが、泳いでいる層が違います。この3種の生態の違いを知っておくと、堤防に立ったときの判断が変わります。


3種の共通点から

まず共通しているところから。

アジ・サバ・イワシはいずれも群れで回遊する青魚です。プランクトンや小型の甲殻類を食べ、群れで移動しながら餌を探しています。回遊魚なので、群れが釣り場に入ってこなければコマセを撒いても釣れません。「周囲の釣り人も含めて誰も釣れていない」なら群れがいない可能性が高く、待つか場所を変えるしかない。

体型も似ています。細長く、断面が丸く、遊泳力がある体です。持久力のある赤身の筋肉を持ち、長距離を泳ぐことに適しています。砂底の魚が白身なのは「動かないから」ですが、青魚はその正反対で「泳ぎ続けるから赤身寄り」です。

ここまでは同じ。ただ、泳いでいる層が違います。


アジは底にいる

アジは3種の中で最も底寄りを泳ぐ魚です。

10cm以下の小アジはイワシやサバに混じって上層にいることもありますが、20cmを超える中アジ以上は警戒心が強く、水深5m程度の堤防なら海底近くを群れています。水深10m以上の釣り場では、底から5m以内に定位していることが多い。

アジが底にいる理由は、捕食スタイルと関係しています。アジはプランクトンだけでなく底付近の小型甲殻類も食べます。底の餌を意識しているから底にいる。

サビキ釣りでアジを狙うなら、まず仕掛けを底まで落とすのが基本です。底に着いたら少し巻き上げて、底から1m以内にコマセカゴと針がある状態を作ります。上層でいくらコマセを撒いても、底にいるアジには届きません。

「アジが釣れている」という情報を聞いて堤防に来たのに釣れない、という人は、仕掛けが浮いている可能性があります。


サバは上にいる

サバは表層から中層を高速で泳ぐ魚です。

アジと違って警戒心が薄く、好奇心が旺盛です。コマセに対する反応が早く、群れが入ってくると一気に食い始めます。動くものに敏感で、仕掛けが沈んでいく途中に食ってくることも多い。

サバが回っているのに底まで仕掛けを落としてしまうと、仕掛けが沈む途中にサバの層を素通りしてしまいます。底に着く頃にはサバの群れは上にいる。仕掛けを浅めに止めて、コマセと同調させるのがサバ狙いの基本です。

サバはアジより傷みが早い魚でもあります。釣れたらすぐに氷締めしてください。バケツに入れっぱなしにすると、あっという間に鮮度が落ちます。


イワシはさらに上にいる

イワシは3種の中で最も表層寄りを泳ぎます。

海面直下から中層にかけて大群で回遊しており、群れが入ると海面がざわつくので目で確認できることもあります。プランクトンを濾し取るように食べる魚で、口が小さく、針も小さいものが有効です。

イワシの群れはサバと混泳していることが多く、同じタナで両方釣れる場合があります。ただしイワシだけを狙う場合は、サバよりさらに浅いタナを意識してください。

イワシはサバよりもさらに傷みが早い魚です。「イワシは鮮度が命」という言葉は釣り人にとっても同じで、釣れたら即氷締めが鉄則です。


タナの目安

水深5m前後の堤防を基準にした大まかな目安です。

魚種 泳ぐ層 サビキの狙い方
アジ(中型以上) 底から1〜2m まず底まで落として少し巻き上げる
アジ(小型) 中層〜上層 サバ・イワシと混泳していることがある
サバ 表層〜中層 仕掛けを浅めに止める。沈む途中に食うことも
イワシ 表層〜中層 海面から2〜3mの浅いタナ

ただしこれは固定ではありません。時間帯・潮の流れ・コマセの効き具合でタナは変わります。釣れなくなったらタナを変える。これがサビキ釣りの基本操作です。


隣の人が釣れているのに自分だけ釣れないとき

この状況の原因は、ほぼタナです。

隣の人と同じコマセ、同じ仕掛けを使っていて、距離も近い。なのに釣れない。違うのは仕掛けの深さだけ——ということが本当に多い。

遠慮せず「どのくらいの深さで釣れていますか」と聞いてください。サビキ釣りの堤防でこの質問をして嫌な顔をする人はまずいません。教えてもらったタナに合わせるだけで、急に釣れ始めることがあります。

私としては、聞かれる前に声をかけたいほうです。


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魚の遊泳層は時間帯・潮汐・水温・釣り場の水深によって変動します。本記事の目安は一般的な傾向です。