釣りが快適なレジャーとして成立する時期はいつか

知り合いが毎年、子どもたちを集めてサーフのちょい投げ釣りをやっています。もう5〜6回は続いているそうです。

日程の決め方を聞いたら面白かった。4月に新学期の予定表が出たところで、5月末か6月頭の土日から候補を2つ出す。参加者の都合を聞いて1つに絞る。今年は名古屋から参加する家族がいて、その家族の都合で5月最終週に決まったそうです。

なぜ夏休みではなくこの時期なのか。答えは「暑すぎるから」。

キスの最盛期は7月から9月ですが、気温35℃の砂浜に子どもを連れて立たせるのは危険ですらある。日陰がない。照り返しがきつい。魚はいるのに人間が持たない。これが近年の真夏の現実です。


レジャーとしての釣りには条件がある

釣り人が一人で行く釣りと、家族や友人を連れて行くレジャーとしての釣りは、計画の前提が違います。

一人なら天気予報を見て前日に「明日行こう」と決められます。雨ならやめればいい。暑ければ早朝だけやって帰ればいい。

家族やグループのレジャーではそうはいきません。日程は1〜2週間前、場合によっては1か月以上前に決める必要があります。子どもの学校行事・習い事・部活の大会・参加者全員のスケジュール調整。天気は選べません。

天気を選べない前提で、「晴れる確率が高く」「暑すぎず」「魚が釣れる時期」を探す。この3つが重なる時期は、思ったより狭い。


真夏はレジャーとして成立しにくくなっている

ここ数年の夏は、10年前の夏と明らかに違います。

関東の7月〜8月は最高気温が35℃を超える日が珍しくなくなりました。砂浜の表面温度は気温よりさらに高くなります。大人でもつらい環境で、子どもにとっては熱中症のリスクが現実的です。

水分補給・日焼け止め・帽子・テントを万全にしても、気温の暴力には限界があります。「釣りに連れて行って」と言われて真夏を選ぶのは、主催者としてはためらう判断になっています。

夕マズメなら気温が下がるという考え方もありますが、子ども連れのレジャーで夕方スタートは帰りが遅くなり、翌日に響きます。朝マズメなら涼しいですが、小さい子を早朝に起こして釣り場に連れ出すハードルは高い。


梅雨の時期はレジャーにならない

釣り大会なら雨でもやります。でもレジャーは違います。雨の中で子どもたちに釣りをさせて「楽しかったね」とはなりにくい。

関東の梅雨入りは平年で6月7日ごろです。気象庁の天気出現率データを見ると、東京の6月の晴れ日数は月間10.5日。降水日数は11.6日。1か月のうち3分の1以上が雨です。

梅雨明けは7月中旬〜下旬。明けたら今度は真夏の暑さが待っています。


ゴールデンウィンドウは5月末〜6月初旬

東京の月別晴れ日数を見ると、5月は16日、6月は10.5日です。5月末はまだ梅雨入り前で、晴れの日が多い時期です。

気温は5月末〜6月初旬の関東で最高気温25〜28℃程度。砂浜で数時間過ごすのに耐えられる上限です。

キスは5月にはちょい投げ圏内に入ってきています。数は多くないかもしれませんが、釣れる可能性はある。

「晴れる確率が高い」「暑すぎない」「キスが釣れ始めている」「子どもの運動会や期末テストに被りにくい」。この4条件が重なるのが5月末〜6月初旬の梅雨入り前です。

知り合いが毎年この時期を選んでいる理由は、経験から導き出された最適解だったわけです。


秋にもうひとつの窓がある

10月もレジャー釣りの候補になります。

東京の10月の晴れ日数は14日、降水日数は10.5日。台風シーズンの9月(晴れ12.4日・降水11日)より安定しています。気温も25℃前後で快適です。

キスは10月でもまだ釣れます。落ちギスと呼ばれる秋のキスは数こそ減りますが、型が良くなる時期です。

ただし10月は学校行事が多い時期でもあり、運動会・文化祭・修学旅行と重なりやすい。スケジュールの空きを見つけるのが5〜6月より難しいかもしれません。


地域で晴天率は大きく違う

関東を基準にした話をしてきましたが、地域によって晴天率には差があります。

気象庁の平年値を見ると、年間日照時間は静岡県が約2,150時間で全国4位。東京都は約1,930時間。年間で220時間、日数にするとおよそ40日分の差があります。

同じ週末でも、東京で曇りの日に静岡は晴れていることがあります。一泊旅行で静岡の海に行くという選択肢は、天気の確率を上げる手段でもあります。

瀬戸内沿岸はさらに晴天率が高いエリアです。岡山県は「晴れの国」を公式に名乗るほどで、降水量1mm未満の日数が全国トップクラス。北の中国山地と南の四国山地に挟まれて雨雲が届きにくい地形がその理由です。一泊旅行で瀬戸内沿岸まで足を伸ばすなら、関東で計画するより天気に恵まれる確率が上がります。


一泊旅行に釣りを組み込む

日帰りのレジャー釣りは天気に振り回されますが、一泊旅行なら柔軟性が増します。

初日が雨でも翌日に釣りができる。釣りが不調でも、宿や観光で一日を回収できる。「釣りだけが目的」ではなく「旅行の中に釣りがある」という設計にすると、天気や釣果に左右されにくくなります。

Tsuricastのカバーエリアでいえば、内房・伊豆・三重は一泊旅行と釣りの組み合わせがしやすいエリアです。宿から釣り場が近く、釣り以外の観光資源もあります。


代替予定を用意しておく

レジャー釣りの主催者として最も重要な準備は、代替予定です。

当日雨だった場合、釣りが不調だった場合に「次の遊び」が用意されていると、一日が崩壊しません。近くの水族館・温泉・海鮮の食事処・磯遊びスポットなど、釣り場から車で30分以内の代替先を調べておくだけで安心感が変わります。

子ども連れの場合、釣りの集中力は長くて2〜3時間です。午前中に釣りをして、午後は別の遊びに切り替える前提でスケジュールを組むと、全体の満足度が高くなります。

「釣れなくても楽しかった」で終わる一日を設計するのが、レジャー釣りの主催者の仕事です。


私の結論

釣りのレジャーシーズンは「夏」ではなくなっています

キスの最盛期は夏ですが、人間が快適に過ごせる時期は春の終わりと秋の始まりに移ってきています。気温の上昇がこの傾向を加速させており、今後さらに「夏の釣りレジャー」は成立しにくくなるかもしれません。

家族や友人を釣りに誘うなら、5月末から6月初旬の梅雨入り前。もしくは10月の秋晴れの週末。決められた日程で釣りができるか、てるてる坊主を作って週間天気予報の変化と睨めっこするところから旅は始まっているのかもしれません。

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本記事の気象データは気象庁の平年値(1991〜2020年)に基づいています。天気出現率は統計上の傾向であり、個別の日の天気を保証するものではありません。釣行の際は直前の天気予報を確認してください。