投げ専用リールの選び方|普通のリールとは根本的に違う、飛ばすための設計
投げ釣りで「普通のスピニングリールじゃダメなの?」と思ったことはありませんか。答えは「使えるけど、飛距離で大きく差が出る」です。
投げ専用リールには、100m以上を安定して飛ばすために専用設計された仕組みがいくつも詰め込まれています。この違いを知ると、「なぜ専用リールを使うのか」がはっきりわかります。
普通のリールとここが根本的に違う
① スプールが大径・浅溝・テーパー付き
投げ専用リールで最も目立つのが、スプールの形です。
普通のスピニングリールのスプールは深い溝で、ラインをたっぷり巻ける設計です。一方、投げ専用リールのスプールは大口径・浅溝・テーパー(傾斜)付きになっています。
なぜこれが飛距離に繋がるのか。キャスト時、ラインはスプールのエッジ(縁)を滑り落ちながら放出されます。スプールが浅溝なら、ライン残量が減ってもエッジからの距離がほとんど変わりません。つまり、100m飛ばした後も放出抵抗が増えにくいのです。深溝だと、ライン残量が減るにつれてエッジまでの距離が広がり、後半の飛距離がガクッと落ちます。
テーパー(スプールが前方に向かって細くなる傾斜)はラインの整流効果を生み、放出時のライン同士の絡まりやバックラッシュを抑えます。
スプールの径も重要で、大径ほどラインが一度に多く出るため、最初の勢いをロスしにくいです。投げ専用リールがひとまわり大きく見えるのはこのためです。

② ドラグをなくして軽量化・誤作動ゼロに(ドラグなしモデル)
普通のスピニングリールには、一定以上の負荷がかかるとラインを送り出すドラグ機能があります。大物が走っても糸が切れないようにするための機能です。
ところが、投げ釣りでシロギスやカレイをメインに狙う場合、ドラグが必要になる場面はほとんどありません。そのため、投げ専用リールにはドラグ機構を完全に取り除いたモデルがあります。
これによって得られるメリットは2つです。リールが軽くなる(ドラグパーツを除いた分だけ)、そしてキャスト中にドラグが誤作動してラインが出てしまうリスクがなくなる。特にPEラインをフルキャストする場面では、ドラグが意図せず作動すると指がラインで切れる危険もあります。ドラグなしなら、その心配がありません。
シロギス・カレイ狙いの引き釣りや、サーフの本格的な遠投投げ釣りにはドラグなしモデルが主流です。当サイトのレポーター・マクミランさんも湘南サーフのシロギス一筋で、投げリールはドラグなし派です。

③ クイックドラグ(QD)モデル:置き竿・大物釣りへの対応
ドラグが必要な釣りには、QD(クイックドラグ)またはSD(ハイスピードドラグ)と呼ばれるモデルがあります。
通常のドラグはノブを何回転も回して調整しますが、QD/SDはノブ1回転でミニマムからMAXまで調整できます。カレイやぶっ込み釣りで竿を立てかけてアタリを待つ置き竿スタイルでは、魚が食ったら素早くドラグを締める必要があります。そのためのワンアクション対応設計です。
「細糸仕様」「極細仕様」「SD」って何が違うの?
グレードの高いモデルを見ると、同じリールに3種類のラインナップが並んでいます。たとえば24フリーゲンなら「35 極細仕様」「35 細糸仕様」「SD 35 標準仕様」の3種類です。
これはスプールの糸巻き設計と、ドラグの有無の違いです。
| ラインナップ | 対応するPEライン | 向いている釣り |
|---|---|---|
| 極細仕様 | PE0.6〜0.8号(200m) | シロギス引き釣りで飛距離を追求したい方 |
| 細糸仕様 | PE0.8〜1号(200m) | シロギス〜カレイまで幅広く使いたい方 |
| SD(標準仕様) | ナイロン1〜2号など(ドラグQD付き) | カレイ置き竿・ぶっ込み・大物狙い |
「極細」と「細糸」はどちらもドラグなしのシロギス引き釣り用ですが、スプールの溝の深さが違います。極細仕様はより浅い溝でPE0.6〜0.8号に最適化されており、細糸仕様は少し溝が深めでPE0.8〜1号が扱いやすい設計です。
ここで「じゃあ細ければ細いほど飛ぶの?」となりますよね。理論上はそうなのですが、PE0.6号以下になると扱いが格段に難しくなります。風の影響を受けやすく、力糸との結束部のトラブルも増えます。飛距離を求める中級者の方でも、PE0.8号が現実的な妥当値です。それ以上細い号数は上級者・競技経験者向けと考えてください。ラインの選び方の詳細はPEラインのページをご覧ください。

どれを選ぶかの目安:
- シロギスの引き釣りメイン → 極細仕様か細糸仕様。飛距離を最大化したいなら極細、まずはトラブルなく使いたいなら細糸が無難
- カレイ・置き竿・ぶっ込みを混ぜてやりたい → SD標準仕様
スプールのサイズ(ストローク)について
投げ専用リールのサイズは、汎用スピニングの「2500番」「4000番」ではなく、**スプールのストローク(スプールが前後に往復する距離)**で表されます。
| ストローク | 特徴 | 向いている釣り |
|---|---|---|
| 30mm | やや小型・軽い | 近〜中距離・堤防全般 |
| 35mm | 標準・最も汎用性が高い | サーフ・堤防の本格投げ釣り |
| 45mm | 大型・最大飛距離 | 競技・本格サーフの遠投 |
ほとんどの釣り人には35mmが最適解です。スプール容量・飛距離・重量のバランスが最もよく、シロギス・カレイ・ぶっ込みまで幅広く対応できます。45mmは競技トーナメント向けの最上位クラスに採用されます。
釣りスタイル別:どのモデルを選ぶか
| 釣りスタイル | おすすめモデル |
|---|---|
| シロギスの引き釣り(持ち竿) | ドラグなし・35mm |
| カレイの置き竿 | QD付き・35mm |
| ぶっ込み・大物狙い | QD付き・35mm(または太糸対応スプール) |
| 競技・最大飛距離 | ドラグなし・45mm |
【入門クラス】予算〜1万5千円
「まず投げ専用リールを使ってみたい」という方へ

こんな方に
- 投げ釣り初心者、または汎用リールからのステップアップ
- 年数回の釣行
- コストを抑えてひとまず始めたい方
特徴と正直なところ
汎用スピニングリールと比べると飛距離は明確に伸びます。ただしミドルクラス以上と比べると、ボディの剛性や巻き心地、スプールの精度に差があります。釣行回数が増えてくると「もう少し軽いリールが欲しい」と感じる段階が来ます。
入門段階で投げ専用リールの感触をつかんで、本格化するときにミドルクラスへ移行するという使い方が現実的です。
代表的なモデル
- シマノ アクティブキャスト 35細糸仕様(実売 7,000〜10,000円)
- ダイワ クロスキャスト 4500(実売 7,000〜12,000円)
【ミドルクラス】予算1万5千〜3万5千円
「本格的に始めたい」「飛距離をもっと伸ばしたい」という方へ

こんな方に
- 月1回以上サーフに通う方
- シロギスの引き釣りを本気でやりたい方
- 長く使える1台を選びたい方
入門クラスとの違い
ボディ剛性が上がり、フルキャスト時のたわみが減ります。これがキャスト精度と飛距離の安定につながります。スプールの素材・精度も向上し、PEラインの放出がよりスムーズになります。また自重が軽くなり、持ち竿での引き釣りが格段に楽になります。
わたし自身も入門クラスと使い比べたことがありますが、特に「1日中引き続けたあとの疲れ方」が全然違いました。軽さは正義だと思います。
代表的なモデル
- シマノ 25サーフリーダー 35EX細糸仕様(実売 15,000〜20,000円)
- ダイワ ロングビーム35 06PE(実売 18,000〜25,000円)
- ダイワ ロングビーム35 QD(置き竿・ぶっ込み向け)(実売 18,000〜25,000円)
【ハイエンドクラス】予算3万5千円〜
「飛距離と巻き心地、すべてを突き詰めたい」という方へ

こんな方に
- シロギスの競技・トーナメントに出ている方
- 毎週サーフに通い、飛距離を追求したい方
- 道具にこだわること自体が楽しい方
ミドルクラスとの違い
剛性をさらに高めた素材(HAGANEボディ・マグネシウムなど)を採用し、フルキャスト時のボディのたわみをほぼゼロに抑えます。スプールはスローオシュレーション機構でラインを密に整列させ、放出時の抵抗をとことん減らします。巻き心地も別次元で、長時間の引き釣りでも疲労感が違います。
当サイトのレポーター・マクミランさんが使っていた17フリーゲンの現行後継がシマノ 24フリーゲンです。インフィニティドライブ・サイレントドライブ・リジッドキャストを搭載してフルモデルチェンジ。定価6万円台のハイエンドクラスに位置します。

代表的なモデル
- シマノ 24フリーゲン 35細糸仕様(実売 48,000〜55,000円)
- シマノ 24フリーゲン SD 35標準仕様(QD・置き竿・大物向け)(実売 48,000〜55,000円)
- シマノ 22キススペシャル45(競技・最上位)(実売 100,000円前後)
まとめ:どれを選べばいい?
| クラス | 予算 | こんな人に |
|---|---|---|
| 入門クラス | 〜1万5千円 | まず試したい・年数回の釣行 |
| ミドルクラス | 1万5千〜3万5千円 | 本格的に始めたい・長く使いたい |
| ハイエンドクラス | 3万5千円〜 | 競技・飛距離の限界を追求したい |
続けるつもりがあるなら、ミドルクラスから始めるのがおすすめです。 入門クラスは試すには十分ですが、釣行を重ねると軽さと飛距離の限界を感じます。最初からミドルクラスを選ぶほうが、長い目で見たコスパは高くなります。
合わせて揃えたいもの
- 投げ竿
- PEラインまたはナイロンライン
- 力糸(PEラインを使う場合は必須)
- 天秤・仕掛け
よくある質問(FAQ)
Q. 普通のスピニングリールじゃダメなの?
使えますが飛距離で大きく差が出ます。投げ専用リールは大径・浅溝・テーパー付きのスプールで放出抵抗を最小化し、ドラグを省くことで軽量化するなど、遠投に特化した設計です。汎用の4000〜5000番リールでも釣りはできますが、投げ釣りの楽しさである飛距離を追求したいなら専用リールを選ぶ価値があります。
Q. ドラグなしとQD(クイックドラグ)はどう違う?どちらを選べばいい?
ドラグなしはシロギス・カレイの引き釣り専用です。ドラグ機構を省いて軽量化し、誤作動がなくPEラインでのキャストに最適です。QD(クイックドラグ)はカレイの置き竿やぶっ込み釣りで大物が掛かったとき用です。ノブ1回転でドラグをON/OFFできるため、アタリ待ちから素早くファイト体勢に入れます。シロギスメインならドラグなし、大物狙いや置き竿をするならQDを選んでください。
Q. スプールのストローク(35mm・45mm)とは何?
スプールが前後に往復する距離のことです。投げ専用リールはこのストロークでサイズを表します。35mmが最も汎用性の高い標準サイズで、サーフ・堤防の本格投げ釣りに対応します。45mmはより大径で最大飛距離を追求した競技・最上位クラス用です。ほとんどの釣り人には35mmで十分です。
Q. PEラインとナイロンライン、どちらを巻けばいい?
飛距離を伸ばしたいならPEラインが有利です。細くて軽いためスプールから抵抗少なく出ていきます。ただしPEラインは先端に力糸(テーパーリーダー)が必要で、扱いにも慣れが必要です。まずナイロン3号で始めて、キャストに慣れてきたらPEに切り替えるのがスムーズです。
Q. 「極細仕様」「細糸仕様」「SD」の3種類は何が違う?どれを選べばいい?
スプールの糸巻き設計とドラグの有無の違いです。極細仕様はPE0.6〜0.8号対応の浅溝スプールで、飛距離を最大化したいシロギス引き釣り向けです。細糸仕様はPE0.8〜1号対応で、シロギスからカレイまで幅広く使えます。SD標準仕様はクイックドラグ付きでナイロン主体、カレイの置き竿やぶっ込み釣り向けです。シロギスの引き釣りがメインなら極細か細糸、大物狙いや置き竿を混ぜるならSDを選んでください。
Q. 投げ専用リールのお手入れで注意することは?
サーフで使った後は必ず真水で洗い流してください。特にラインローラー部分に砂が入りやすいので丁寧に。スプールを外して内部の塩も落とすとベターです。乾燥後はスプールを外した状態で保管すると長持ちします。ドラグなしモデルはドラグ部分がないぶんシンプルで、基本的な水洗いと乾燥で十分です。






