フィッシュグリップ・フィッシュホルダー完全ガイド|魚を安全に触るための道具を選ぶ
釣り上げた魚を素手で触ろうとして痛い目にあった——そういう経験のある方は少なくないはずです。鋭いトゲ、意外と力強い歯、触ると危険な毒、暴れてフックが刺さる……。釣り場では予期しない危険が起きやすく、「とりあえず素手で掴めばいい」は通用しないことが多いです。
フィッシュグリップ・フィッシュホルダーは、釣り人と魚の両方を守るための道具です。もうひとつ正直に言うと、触りたくないという理由もあります。ヌルヌルの魚、独特の臭いの魚、素手で触ったあとしばらく臭いが取れない魚——釣り場ではそういう魚も普通に釣れます。安全のためだけでなく、そういう意味でも1本あると助かります。
まず知っておきたい:2つの種類の違い
「フィッシュグリップ」という名前でまとめられることも多いですが、形状と使い方が根本的に異なる2種類があります。
フィッシュホルダー(トング型・胴体を挟む)
トングやハサミに似た形状で、魚の胴体を挟んで持ちます。「魚バサミ」「魚掴み」「アジバサミ」とも呼ばれます。
向いている魚: アジ・サバ・イワシなどの小型魚、カサゴ・メバルなどの根魚(トゲが鋭い)、ゴンズイなどの毒魚
特徴:
- シンプルな構造で誰でも使いやすい
- 金属を使わないプラスチック製モデルが多く、錆びにくい
- 魚の下顎に穴を開けるリスクがない
- 子どもや手の小さい人でも扱いやすい
ファミリーフィッシングや堤防の五目釣りで想定外の魚(毒魚・トゲのある魚)が釣れたとき、フィッシュホルダーが1本あると安心です。アジは素手で触れますが、同じ場所でゴンズイやオコゼが釣れることがあります。そのときのために持っておく道具です。
ゴンズイは外道として釣れやすく、毒のトゲを踏むと非常に危険です。素手で絶対に触らないでください。トング型のフィッシュホルダーがあれば安全に針を外してリリースできます。

フィッシュグリップ(アーム型・口を掴む)
トリガーを引くと先端のアームが開き、魚の下顎を挟む構造です。「マウスホールドタイプ」とも呼ばれます。
向いている魚: シーバス・クロダイ・青物・ヒラメ・根魚の中〜大型
特徴:
- 大型魚でも確実にホールドできる
- 魚の口を持つことで魚体全体が静止し、フック外しが安全にできる
- 写真撮影で魚を持ち上げる際にも使いやすい
- 剛性が高いモデルは10〜20kg超の大型魚にも対応
シーバスはエラが鋭く素手で触ると切れます。クロダイも思いのほか危険な部位が多い魚です。このクラスの魚を扱うなら、フィッシュグリップは必須と考えてください。
形状の種類(フィッシュグリップ)
口を掴むフィッシュグリップの中でも、グリップ部分の形状でいくつかのタイプがあります。
ストレートグリップ
グリップ部分が直線的なスタンダードなタイプです。グリップが太いモデルは力を入れやすく、大型魚のホールドに向いています。細身のモデルは口に入れやすく操作性が高いです。
ガングリップ(ガンタイプ)
グリップ部分が「く」の字に曲がっており、銃のトリガーを引くような感覚で操作します。片手で扱いやすく、コンパクトなモデルが多いのでランガンで常に腰に下げておくスタイルに向いています。
選び方のポイント
対象魚のサイズで選ぶ
フィッシュグリップには耐荷重が設定されています。シーバスや青物を持ち上げる場合は、対象魚の想定サイズをカバーできる耐荷重のモデルを選んでください。耐荷重が足りないモデルは、大型魚を持ち上げた際に変形・破損し、魚を落としたり怪我につながることがあります。
素材:アルミ・ステンレス・プラスチック
海釣りではステンレスやアルミ製が錆びにくく長持ちします。フック部分(アーム部)はステンレス製が定番です。プラスチック製は軽量で錆びませんが、大型魚には強度が不足することがあります。
携帯性:カラビナ・スパイラルコードの有無
ランガンスタイルでは、バッグやライフジャケットにぶら下げて携帯できるカラビナ付きモデルが便利です。スパイラルコード(落下防止コード)が付いていると、足場の悪い場所でも安心できます。
スケール機能(重さ計測)
フィッシュグリップに重量計が内蔵されているモデルがあります。釣った魚の重さをその場で計れる機能で、記録狙いの方には便利です。
釣りスタイル別おすすめ
ファミリーフィッシング・堤防五目釣り
フィッシュホルダー(トング型)1本が必携です。アジ・サバなどは手で触れますが、同じ堤防でカサゴ・メバル・ゴンズイ・ウミケムシなどが釣れることは珍しくありません。子どもが釣りをする場合は特に、魚の種類に関わらず道具を使う習慣をつけると安全です。
エギング・ライトゲーム(アジング・メバリング)
トング型フィッシュホルダーが基本です。アジ・メバルの胴体を挟むのに適しています。エギングでアオリイカを触る場合は素手でも問題ありませんが、外道でカサゴや根魚が釣れることもあるのでホルダーはあると助かります。ランガンスタイルではカラビナ付きで腰やバッグに下げておけるものが便利です。
シーバス・クロダイ・青物
口を掴むフィッシュグリップが必須です。シーバスはエラが鋭く、クロダイも素手で掴もうとすると怪我をしやすい魚です。耐荷重が十分なモデルを選んでください。写真撮影で魚を持ち上げる機会が多い方は、魚の重さで締まりこむ構造のモデルが安定感があります。
磯・根魚(カサゴ・アイナメ・ハタ)
トング型でもフィッシュグリップでもどちらでも対応できますが、大型の根魚はフィッシュグリップのほうが安定してホールドできます。磯では足場が悪くなるため、両手でしっかり魚を保持できる道具が安全です。スパイラルコード付きで落下防止対策をしておくとなお安心です。
まとめ:使う魚のサイズで選ぶ2択
| 道具 | 形状 | 向いている魚 |
|---|---|---|
| フィッシュホルダー | トング・ハサミ型 | 小型魚全般・毒魚・トゲのある魚 |
| フィッシュグリップ | アーム型(口を掴む) | 中〜大型魚・シーバス・青物・クロダイ |
どちらか1本だけ選ぶなら、釣るターゲットで決まります。小物釣り・ファミリーフィッシングが中心ならフィッシュホルダー、シーバスや青物を狙うルアーマンならフィッシュグリップです。両方の釣りをする方は2本持ちが理想ですが、第一精工の「ガーグリップ」シリーズのように、トング型でありながら先端で口を掴む動作もできるハイブリッドモデルもあります。
合わせて揃えたいもの
- プライヤー・フォーセップ(針外し)
- タックルバッグ(携帯用)
よくある質問(FAQ)
Q. アジは素手で触っていいですか?
→ アジ自体は素手で触れますが、同じ釣り場でゴンズイやカサゴなど危険な魚が釣れることがあります。特にファミリーフィッシングでは、釣れた魚の種類に関わらずフィッシュホルダーを使う習慣をつけるほうが安全です。
Q. フィッシュホルダーとフィッシュグリップ、どちらを先に買えばいい?
→ 釣るターゲットで決まります。小物釣り・ファミリーフィッシングが中心ならフィッシュホルダー(トング型)を先に買ってください。シーバスや青物などの中〜大型魚を狙うなら、最初からフィッシュグリップ(アーム型)が必要です。
Q. ゴンズイが釣れました。どう対処すれば?
→ 絶対に素手で触らないでください。ゴンズイは胸ビレと背ビレの棘に毒を持ち、刺されると激痛が続きます。フィッシュホルダー(トング型)で胴体を挟み、プライヤーで針を外してリリースしてください。素手では針を外そうとしないことが重要です。
Q. フィッシュグリップで魚を持ち上げてもいいですか?
→ 耐荷重の範囲内であれば問題ありません。ただし大型魚をグリップだけで長時間ぶら下げると顎に負担がかかります。キャッチアンドリリースを前提にする場合は、できるだけ素早く写真を撮り速やかにリリースしてください。