【インタビュー】変わりゆく東京湾の海と釣りの今――関根釣具店に聞く
近年の海洋環境の変化は、釣り場にどのような影響を与えているのか。久里浜海岸前に店を構える「関根釣具店」の店主に、最近の釣果や魚種の変遷、そしてエサ事情について詳しくお話を伺いました。
1. 最近の釣果と海域のコンディション:赤潮とアマモの影響
――最近の海の状態はいかがですか?
店主: 今年はとにかくアマモ(海草)がすごいですね。かなり遠くまで生え広がっていて、エリア自体が増えた印象です。少し前にだいぶ抜けましたが、それでもまだ場所によっては4色(約100m)先でもアマモが掛かってくるような状況です。
――釣果の方はいかがでしょうか。
店主: ここ数日は「赤潮」がかなり濃く出ていて、厳しい状況が続いています。昨日も、フグのアタリさえなかったという声を聞きました。東京湾は生活排水の影響もあり栄養豊富ですが、その分赤潮も起きやすい。これが抜けないことには、なかなか厳しいですね。ただ、東京湾は栄養が豊富なので、アジなどは相模湾のものと比べても脂の乗りが良く、味は抜群にいいですよ。
――狙い目の魚種は?
店主: シロギスはまだ時期が少し早いのか、1日やって数匹というところ。ただ、先日中学生が防波堤の先端から20cm超えの良型を含む6匹を釣り上げていました。根と砂地が混じった場所をピンポイントで狙うのがコツのようです。
2. 魚種の変化:北の魚が消え、南の魚が定住
――最近、釣れる魚の種類が変わってきたという話を聞きます。
店主: 本当に海が変わってしまいました。昔は当たり前だったアイナメが、今では年間1本見るか見ないかという珍しい魚になってしまいました。メバルも今年は少ないですね。
――逆に増えた魚はありますか?
店主: 本来はもっと南の海にいるはずの魚が増えています。アオブダイや、シーカヤックで出る人の間ではキジハタ、アカハタ、オオモンハタといったハタ類が混じっています。また、三浦半島の城ヶ島あたりでは、以前は一時的だったアイゴが今は常駐しています。
――まさに「海の温暖化」を実感されているのですね。
店主: そうですね。「この時期ならこれが釣れる」というこれまでの常識が通用しなくなってきています。
3. エサの流通事情:釣り人減少と回転率の課題
――エサ(ジャリメ)の入荷状況について教えてください。
店主: 入荷はしていますが、最近は品質の維持が難しくなっています。見た目は良くても、翌日から弱ってしまうケースがあるんです。
――それは何が原因なのでしょうか。
店主: おそらく釣り人が減ったことで、エサの「回転」が悪くなっているのだと思います。問屋さんや出荷元の段階でストック期間が長くなっているのかもしれません。私としても、自分の目で見て納得できない状態の時は、あえて仕入れないこともあります。生き餌は鮮度が命ですから、こればかりは経験したことのない難しい状況ですね。
取材後記
赤潮やアマモといった自然環境の変化に加え、南方系の魚種の増加、そして釣り人減少によるエサの流通への影響など、現場からはリアルな課題が見えてきました。変わりゆく海とどう向き合っていくか——しかしそれは同時に、新しい釣りの楽しみ方を模索する転換期でもあるのかもしれません。Tsuricastでは引き続き、現場の声をお届けしていきます。

葵ちゃんコメント
赤潮とアマモが重なってる今の久里浜、正直かなり厳しい条件です。アイナメが年間1本になってハタ類が定住しつつある、これは水温上昇で等温線が北上してる典型的な流れですね。東京湾の富栄養化は釣果の話だけじゃなくて、アマモの異常繁茂も同じ文脈で起きてます。ジャリメの回転が落ちてるのも釣り人口減少の話で、産業として見ると構造的な問題です。シロギスは砂地と根の境目を丁寧に拾えば出てくるはず。先端から中学生が良型を出してるなら、居ることは居ます。
関根釣具店 〒239-0831 神奈川県横須賀市久里浜7丁目14−4 046-835-1044 営業時間:8:00〜18:00(火曜定休)